【暴力に悩んでいる方必見!】介護士が暴力から身を守る方法とは

2023.01.30掲載
介護お役立ち情報

更新日:2023/1/30

【暴力に悩んでいる方必見!】介護士が暴力から身を守る方法とは

「利用者からの暴力に耐えきれない」と悩んでいる介護士さんはいませんでしょうか。

介護士といっても普通の人間です。暴力はもちろん暴言を受けても深く傷つき、「もう職場に行きたくない」と感じるのも無理はありません。

真剣に仕事に取り組んでいる方ほど、

「自分のやり方が良くないのでは?」
「解決できないのは自分が悪いのでは?」

と不安になったり自分を責めてしまったりする傾向があります。

ですが、今この瞬間、一番つらい思いをしているのはあなたです。
だからこそ、あなた自身が自分を責める必要はありません。

今回の記事では、利用者からの暴力について詳しく解説していきます。
暴力を受ける原因や対処法について、介護士として13年働いてきた筆者が具体的に解説するので、ぜひ参考にしてください。

私も利用者からの暴力に悩んだ時期がありました。
つらい時期を乗り越えた方法を、あなたのために惜しみなくお伝えしたいと思います。
ぜひ一緒に問題を乗り越えましょう。

 

利用者から暴力を受けていると思ったら

「利用者から暴力を受けている」と思ったら、以下の3つのポイントを抑えましょう。

 

どこからが暴力なの?

叩かれたり引っぱれたりして、ケガを負わされるのはもちろん暴力です。
杖を振り上げて威嚇してきたり、近くで怒鳴られたりしたら怖いですよね。

あなたが恐怖を感じたら、それは暴力です。

 

ケアを断ることはできる?

暴力を感じる利用者からは、できるだけ離れたいですよね。
ですがケアを断れるかどうかは、職場にいる上司や同僚の方針に左右されるでしょう。

「同じ介護士だから、あなただけ特別扱いできない」という上司がいるかもしれません。

一方で、「あなたはよくやってくれた、少し離れましょう」と距離をとるよう指示してくれる
同僚や上司もいます。

 

暴力はいつまで続くの?

暴力がいつまで続くのか、明確な期間はありません。
ですが利用者自身の体調不良が暴力を引き起こしている場合、治療が進み体調が良くなれば暴力は治まるかもしれません。

暴力に悩む家族が病院と相談した結果、向精神薬などを服用して暴力が無くなるケースもあるでしょう。

ケアを担当している介護士が上司や同僚に相談した結果、暴力を予防するケア方針に変わり無くなるケースも存在します。

いずれにしても暴力に困っている家族や介護士が行動を起こさない限り、暴力は長引いてしまいます。

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暴力の原因とは

暴力の原因について、よくある3つのケースを挙げていきます。

 

そもそも暴力だと思っていない

介護士の髪の毛を引っぱったり杖で叩いてきたりする利用者がいます。

「こんなこともできないのか」
「お前みたいなやつは辞めてしまえ」

と暴言を吐く利用者も少なくありません。

私も過去に勤めていた認知症対応型デイサービスでは、
男性利用者さんの杖で頭や肩、足を叩かれたり唾を吐かれたりした経験がありますが、
仕事だとわかっていても傷ついたのを覚えています。

暴力を受けて嫌な思いをするのは、誰でも一緒ですよね。

しかし、親や兄弟、親戚や近所の人に叩かれて育ったという高齢者の方にとって、そもそも暴力だと思っていない方がいます。

昭和の時代は父親の存在が大きかったこともあり、家族に叱られて叩かれて育ったと話す利用者さんも多いのではないでしょうか。

そのため自分へのサービスが不適切だと感じると、反射的に暴言を吐いてしまうようです。
「手を抜かれている」と感じて腹をたて、暴力につなげてしまう方もいます

 

認知症により感情のコントロールが難しくなっている

アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症といった認知症を患っている方の中には、
感情のコントロールが難しくなっている方がいます。

レビー小体型認知症は、幻視や妄想が出現する傾向があるため、

「誰かが私を引っぱっている」
「ずっと男の人がこっちを見ている」

とストレスを感じ、どうしても感情を抑えられない方も。

一方で認知症を患っても、全ての利用者が攻撃的になるわけではありません。

「俺はもうボケてるからな、何も覚えてないんだ」と快活に笑うおじいちゃんもいれば、
いつも穏やかに過ごしているアルツハイマー型認知症と診断されたおばあちゃんもいます。

人生の経験生まれ持った性格といった個性と認知症という病気が組み合わさり、感情のコントロールが難しくなるのかもしれません。

 

自分の不満を介護士にぶつけているだけ

病気や障害によるストレスから、暴力や暴言が止められない利用者もいます。

食事を自分で摂れないイライラや、好きなときに好きな場所へ行けない苛立ちなどが積み重なり、
身近の介護士に攻撃的になってしまうのです。

息子や娘、孫との関係といった家族関係に悩みを抱える方も少なくありません。

自分の資産をどうするかといった金銭問題も、利用者を苦しめる原因となっています。
初めて経験するストレスにうまく対処できないのは、若い私たちと同じかもしれません。

うまくいかない苛立ちを、身近にいるだけの介護士にぶつけているケースです。

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介護士が自分を守る方法6選

介護士が自分を守る方法6選

ここからは介護士が身を守る方法を解説していきます。
元介護士である筆者が「試してみたらうまくいった」という方法もまとめました。

6つの対処法を用意したので、自分の性格や職場の特徴、利用者さんの特徴と照らし合わせて
良い案を探してみてください。

 

別の介護士にバトンタッチする

人間同士には、必ず相性があります。
あなたに対する暴言や暴力が目に余るときは、相性のいい別の介護士に対処してもらいましょう。

私が認知症対応型通所介護に務めていたときのケースですが、女性スタッフへ暴言や唾を吐いていた
女性利用者さんが、私に対しては笑顔で接してくれました。

女性利用者さんが不穏なときはもちろん、機嫌がよいときも私がケアを担当することが多くありました。

利用者さんもスタッフも心穏やかに過ごせる方がいいですよね。

暴力のある利用者さんにお気に入りの介護士がいれば、できるだけ対処をお願いしましょう。

ケアを代わってくれたら、
お礼として記録業務を代わりに行ったり、別の介護業務を率先したりして、
お互いにサポートする関係をつくりましょう。

とはいっても自分しか対処できない場面もあるでしょう。
その時はどうすればよいでしょうか。

 

対処法を見直してみる

話しかけ方を見直すだけで、相手の警戒心を下げることもできます。

相手の方に何かしてもらいたいときこそ、コミュニケーションにおけるワンクッションが大切です。

ワンクッションとは、

「体調はいかがですか?」
「晴れていて気持ちのよい日ですね」

といった短い会話です。

要件の前に相手の方と短時間でも話すことで、相手の注意を無理なくこちらに向けられます。

認知症を患っている方は、状況の変化に不安を感じます。
そのためワンクッションおいて安心感を持ってもらうと、不安や恐怖からの暴言や暴力を予防できるのです。

また、話しかけ方も大切です。

背後から話しかけられたりすると、利用者さんはびっくりしてしまうかもしれません。
挨拶もなしに要件だけ話されると、私達でもむっとしませんか?

暴力を振るってくる利用者さんの正面に回るのは怖いですよね。
けれど、利用者さんも顔の見えない人に話しかけられると不安になってしまいます。

近くなくてもかまいません。
「この距離なら話せそう」とあなたが安心できる距離を保ってから、声をかけてみましょう。

近すぎたり暴力が届く距離にいたりすると、反射的に手が出てしまう利用者さんも存在します。

そのため、少し離れていても問題ありません。
利用者さんからあなたの顔が見えていて、正体がはっきりしていれば大丈夫です。

 

毅然と反論する

「傷つくことを言うのは、やめてください」
「怒鳴らないでください」

と、はっきり意思表示するのは有効です。

暴言や暴力を振るう方の中には、「こいつならやり返してこないだろう」と思っている方がいます。

相手をみて暴言や暴力を振るうかどうか決めているともいえるので、
「傷つくのでやめてください」と毅然と反論すると、急に言われなくなったケースもあります。

「意思表示をしたら、もっとひどいことを言われるかも」とあなたは考えているかもしれません。

一人で言いにくい場合は、気の置けない同僚や上司に頼んでついてきてもらいましょう。
上司や同僚に代弁してもらうのもよいですが、自分で伝えるのをおすすめします。

相手に自分の意思をはっきりと主張できれば、次の機会に怖い気持ちが薄くなっているのを
感じられるはずです。

私も過去に、暴言の多過ぎる利用者に伝えた経験があります。
「逃げずに主張できた」という経験が自信になり、必要以上に怯えなくなったのです。

 

上司や同僚への報告をこまめに行う

暴言や暴力を受けたら、必ず上司や同僚へ報告しましょう。

暴言や暴力を受けた後は、精神的なダメージを受けています。
誰かにこんな目にあったと話をするだけでも気分が落ち着くはずです。

逆に誰にも伝えず自分一人で抱え込んでしまうと、「次もまた同じ目にあうのかもしれない」と
職場に出るのが怖くなってしまいます。

同じ目にあっている介護士がいれば、気持ちを共有できるでしょう。
対処法を一緒に考えられるかもしれません。

また利用者の暴力から会社が守ってくれるかどうかを知るチャンスとも考えられます。
もちろん暴力から部下や職員を守るのは上司や会社の役目です。

暴力を受けた職員へのサポートや対策法をきちんと考えてくれるのか、あいまいに
やり過ごしてしまうのかといった会社の動きを、将来のためにチェックしましょう。

大切なポイントがあります。
杖や手を振り上げた利用者自身がどこかにぶつけて怪我をする場合もあり、後になってトラブルの種になることも。

自分に非がないことを証明するために、報告はこまめに行っておきましょう。

 

専門機関に相談する

上司や同僚へ相談しても、進展がなく暴力が続く場合は、専門の相談機関へ相談してみましょう。

苦しんでいるあなたには、退職や転職が視野にあるかもしれません。
しかし生活の基盤を失うリスクはなるべく避けた方が無難でしょう。

「退職しかない」と追い詰められたら、有給消化や休職制度を利用して心身の回復を図ってください。
落ち着いてきたら、以下の専門機関を利用してみましょう。

・総合労働相談コーナー

厚生労働省が設置する労働関連の相談窓口です。
あらゆる分野の労働問題に対応するワンストップサービスとして有名で、
専門の相談員が面談か電話で対応してくれます。予約不要で無料で利用できるのもメリットです。

https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html

・みんなの人権110番

人権問題に関わる相談ができます。地域を管轄する法務局の職員または
人権擁護委員が対応してくれます。
電話相談と面談のどちらかを選べます。

https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken20.html

・労働条件相談ほっとライン

厚生労働省の委託事業で、月~金の平日最終受付時間は22:00です。
日勤帯の勤務なら、仕事が終わった後でも無理なく相談ができるでしょう。
土日も21:00まで電話可能です。

https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/lp/hotline/

 

転職する

「心身の健康を保てない」と少しでも思うのなら、転職を選びましょう。
いくら仕事が大事だとわかっていても、体を壊したくはありませんよね。
あなたの大切な体を守るために、新しい職場を探すのもおすすめです。

働きやすい職場をご自身の力で探すことは大変難しいことです。
「次の職場は働きやすいところがいいな…」
とお考えでしたら、ぜひ我々にご相談ください。

施設様の雰囲気や働き方などを熟知したスタッフが、あなたに合ったお仕事を一緒にお探し致します。

 

 

番外編・スタッフからの言葉の暴力

利用者さんだけでなく、職員の中にも暴言をぶつけてくる人もいます。

「暴力や暴言を受けるのは、プロフェッショナルな介護士ではないからだ」

と言う職員は少なくありません。

確かに利用者さんを怒らせないよう対処できれば、お互いに嫌な思いをせずに済むでしょう。
ですが暴力を受けて傷ついている介護士に対する言葉としては、冷たすぎると言わざるを得ません。

プロフェッショナルな介護士とはどんな人でしょうか。

ミスやエラーを一切起こさない人でしょうか。

どんなことにも動じず、心を動かさない、機械のような人でしょうか。

プロフェッショナルな介護士でも、人間です。

暴言や暴力を受けて傷つかないロボットとは違います。
スタッフから言葉の暴力を受けても、安易に自分に責任があると考えるのはやめましょう。

たとえば利用者さんにとってあなたは昔嫌いだった人間に似ていたとします。
「似ているからいじめてやろう」と考えている利用者に対して、あなたは責任を持つべきでしょうか?

極端な例かもしれません。
しかし責任を持つ必要のないケースはいくらでもあり、

あなたが大切にすべきなのは世界に一人しかいないあなた自身なのです。

 

介護士を続けていくために

介護士を続けていくために

「あなたがいてくれてよかった」
「お父さんは、あなたと会うのが楽しみみたいなんです」

と、人と近い距離でふれ合う介護士の仕事は、利用者や家族から感謝される価値ある仕事です。

介護士しか味わえないメリットをわかっている方こそ、「介護の仕事を続けていきたい」と考えています。

介護士を継続して楽しんでいくためには、心身の健康は不可欠です。
これからも続けていきたいと思う方にとって、暴力に負けない取り組みが
必要不可欠ではないでしょうか。

迷ったときや疲れたときは、今回の記事を見直してみてください。
あなたらしい介護士生活を築き上げるために、この記事がお役に立てたら幸いです。

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この記事を書いた人:TAKUMI  / Webライター
著者:TAKUMI 介護福祉士として特別養護老人ホームで働いていたときに、バーンアウトを経験。周りの支えもあり克服しました。
その後、素晴らしい仲間との出会いや仕事への気づきから、介護の仕事が楽しいと思える日々を送ることができました。
今では「バーンアウトを経験したから、今がある」と考えています。
13年間介護職として働いてきた経験を活かして、皆さまのお役に立つ記事を書いていきたいと思います。写真は私の似顔絵で、7歳の娘が描いてくれたものです。