介護士さんの腰痛予防でできることとは?負担の少ない職場はあるの?

2023.01.30掲載
介護お役立ち情報

更新日:2023/1/30

介護士さんの腰痛予防でできることとは?負担の少ない職場はあるの?

身体介護で腰を痛めてしまう介護士さんは多いのではないでしょうか。

実際、私も無理な姿勢で利用者さんを介助してしまい腰を痛めたことがあります。
腰痛を我慢し続けて仕事を続けた結果、階段の登り降りができなくなるまで悪化してしまいました。
腰痛はひどくても仕事が減るわけではないので、とても辛く大変だったのを覚えています。

本記事では腰痛予防のためにできることや、いざ腰痛をやってしまった場合どういった対処法があるのかについてお話ししていきます。

本章を読むことによって、腰痛に悩む多くの介護士さんたちがどう対処すればよいかを理解し、介護の仕事を今後も続けていけることでしょう。

 

腰痛が起きる原因とは?

介護士さんに腰痛で悩む方が多い原因を下記にて紹介します。

人員不足などで忙しい

人員不足などでひとりの介護士に負担が大きくのしかかる場合、腰痛が起きやすくなるでしょう。

時間に追われる中で身体介護や雑務などを立て続けに行っていると、ちょっとしたインターバルを設ける余裕すらないことは多々あるのです。

腰まわりの筋肉が緊張し続けてしまうことで腰痛は起きやすくなります。

腰に負担をかけやすい姿勢で介助をしている

身体介護において無理な姿勢が続くと腰を痛めてしまいます。

例えば、オムツ交換では前屈みの状態が続き、移乗介助では利用者さんの体を持ち上げなければなりません。
目の前の作業に集中する余り力任せな介助になってしまっては、腰を痛めてしまうでしょう。

日常的に腰に負担をかけやすい介助方法を繰り返していると、慢性腰痛やぎっくり腰を引き起こしてしまう可能性もあります。

介助しづらい環境である

上手な介助方法を身につけていたとしても、介助するための十分なスペースが確保されていない場合、不自然な姿勢での介助を余儀なくされてしまうことがあります。

例えば、ベッドの上下片側が壁や家具などで塞がれた状態での体位変換や、部屋が狭くベッド横に車椅子を横付けできない状態での移乗は介助者にとってとても辛いものです。

上記の場合、どうしても上半身のみを使った介助となってしまい、腰に負担が集中してしまいがちになるのです。

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腰痛を予防するためにできることとは?

腰痛を予防するためにできることはあるのでしょうか。

下記にて腰への負担を軽減させるための方法について紹介します。

ボディメカニクスを意識する

ボディメカニクスとは、利用者さんに備わる身体機能を生かして、介護者が最小限の力で利用者さんを介助することができる介護技術を指します。

例えば、椅子からの立ち上がりの介助をする際、利用者さんの体を力任せに持ち上げるような介助をしてしまうと介助者は腰を痛めてしまいます。
ボディメカニクスを意識した介助では、利用者さんの前に介助者が立ち、手前に引き寄せるように利用者さんの重心を前へ移動させてあげる流れとなります。
上記により利用者さんは残存機能を生かして自身の力で立ち上がることができ、介助者も少しの力だけで介助することができるのです。

実際、度重なる身体介護により腰を痛めていた私もボディメカニクスを意識することで随分と楽に介助を行えるようになりました。

力学的視点で、どのように介助すれば最小限の力で済むかを考える習慣を持つことは、腰を守る上で非常に大切なことといえます。

環境の整備をする

前屈みの姿勢が続いたり、重いものを持ち上げながら体をひねったりする動作は非常に腰への負担が大きいものです。

上記を避けるためにもベッドの高さを介助しやすい高さに調整したり、ベッドまわりに十分なスペースを確保しておいたりするなどの工夫が大切です。

介助者にとって負担の少ない介護は、利用者さんにとっても楽で安心できる介護といえるでしょう。

こまめにインターバルを入れる

腰痛は、無理な姿勢が続いたり重いものを持ち上げたりといった作業により腰まわりの筋肉が強張ったままの状態になることから生じます。

作業と作業の合間に適度なインターバルを入れ、筋肉をほぐしたり血流をよくしたりする心掛けは腰痛を予防する上で非常に大切です。

また、思い切り伸びをしたりストレッチをしたりすることは心身のリフレッシュにもつながるので、疲れを解消することができるでしょう。

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腰痛が起きてしまったときの対処法とは?

腰痛が起きてしまったときの対処法とは?

腰痛が起きてしまった場合、どうすればよいのでしょうか。

下記にて負担を減らしながら仕事を続ける方法や腰痛改善でできることなどを紹介します。

コルセットを使用する

コルセットや腰痛ベルトの使用は、腰痛を和らげる上で非常に有用です。

ベルトで腰まわりを固定することにより、負担が集中しがちな腹横筋や多裂筋なと゛が外側から支えられるので、痛みが非常に楽になるのです。

実際、私自身も腰に負担のかかる介助によりひどい腰痛に苛まれてしまい、歩くのもやっとな時期がありました。
このとき、病院ですすめられたコルセットを装着したところ、とても腰まわりが軽くなり感動したことを覚えています。
腰痛を抱えながらも業務に取り組まなければならない場合、コルセットは非常に心強い味方となります。

ただし、コルセットは腰痛を治療するためのものではなく、あくまで負担を軽減させるためのものです。

日常的に装着する習慣がついてしまうと、コルセット筋と呼ばれる腰周囲の筋力が弱ってしまう可能性があることを考慮しておきましょう。

良質な睡眠をとる

腰痛を少しでも改善するには十分な休息が必要となります。

特に、良質な睡眠をとることは重要です。
体内の成長ホルモンは深夜1時から3時に深い眠りにつくことにより分泌されるため、この時間帯に腰まわりの疲弊した筋肉を休ませておく必要があります。

ひどい腰痛が起きてしまった場合、前述のコルセットなどによる負担軽減策を取りつつ、腰痛の治癒に向けて十分な睡眠が取れるように心掛けましょう。

栄養をとる

腰痛治癒に向けて、前述の睡眠と同様に大切であることはバランスの取れた栄養を摂取することです。

例えば、腰まわりの筋肉を修復するためにはタンパク質・脂質が大切ですし、丈夫な骨を維持するためにはカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが必要となります。

食肉にはタンパク質や脂質、海藻類にはマグネシウムが含まれています。
乳製品や小魚などはカルシウムが豊富な食品として知られていますね。

ただ、忙しい日々の中、バランスよくこれらをとることが難しい方は多いことと思います。

そこで私がおすすめしたいのが、卵を一日に5つ摂取することです。

鶏卵にはタンパク質、脂質に限らずビタミンやミネラルなどの栄養素もバランスよく含まれています。
栄養素に応じた品数をキープしづらい場合には、朝昼晩の一品にゆで卵をプラスするだけでもいいのです。

実際、私自身も以前は腰痛を起こしやすい体質でしたが、常日頃の栄養摂取に気を配るようにしてからは体のパフォーマンスが非常に上がり腰を痛めにくくなりました。
腰痛改善のための近道は十分な睡眠と栄養摂取といえるでしょう。

どうしても痛みが治らない場合どうすればいい?

上司に業務内容の変更を相談する

腰痛がひどく、どうしても業務を続けていくことが困難である場合、問題を抱え込むことはせず上司に一度相談してみましょう。

職場環境によっては、より負担の少ない仕事内容に調整してもらうことができるはずです。

上司に事情を伝える上で大切なポイントは、自分にできる動作や作業を明確にしておくことです。

例えば、屈むことはできても前屈みになることが困難な場合、ベッド上での介助は避けて調整してもらう必要があります。
一方で、トイレの見守りや足浴など立ったまま前に屈む必要のないケアには入ることができる旨をしっかりと上司に伝えておくことが大切です。

私の経験上、体の不調を職場と相談できる方のほうが長く働いている場合が多いです。

腰痛に限らず、膝痛、頭痛などでシフト調整をしてもらったり休暇を取ったりされる方もいらっしゃいました。

上記の方々は信頼の厚い職員であることが多く、柔軟に働き方を変えることにより体の不調と上手に向き合い、長く職場に貢献されています。
腰痛に悩む介護士さんと職場の双方にとって納得のいく形で業務を進めていけるように、体の不調は抱え込まず相談してみるとよいでしょう。

身体介護の少ない職場に転職する

腰痛に悩む介護士さんにとって、身体介護の少ない職場に転職することもよい選択肢のひとつです。

下記では、身体負担が比較的少ない仕事内容の施設形態を紹介します。

介護老人保健施設

利用者さんの介護度が比較的低く、在宅への復帰を目指す方が多い介護老人保健施設では、身体介護における負担が少ないといえます。

また、老健には腰痛対策委員会が置かれていたり、専門知識を持った看護師や理学療法士が在籍していたりする強みがあります。

腰への負担を抑えた介助方法を学ぶ機会に恵まれており、安心して働くことができますよ。

グループホーム

グループホームの利用者さんは認知症や精神疾患などを抱えてはいますが、基本的に身体的に自立されている方がほとんどです。

介助内容は声かけや見守り、作業補助といった支援がメインとなるため、身体介護における負担は非常に少ないです。

腰痛に悩んでいる介護士さんにはおすすめの就業先といえるでしょう。

デイサービス

日中のみ身体機能向上のためレクリエーションなどを行うデイサービスもにおいても、身体介護の必要はほとんどありません。

あったとしても、トイレ介助や食事介助といった前屈みになる必要のない介助であるため、腰への負担は少なく済みますよ。

まとめ

まとめ

ここまで介護士さんが腰痛になった場合の対処策や腰への負担の少ない職場についてお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか。

ひどい腰痛が起きてしまった場合、今後業務を続けられるか不安になる介護士さんは多いことと思います。

腰痛への対処策を取りつつ現職を続けること、身体的負担の少ない施設に転職すること、いずれも選択肢としてあります。

ただ、腰痛という辛い事象は今の介助方法が正しいものであるかどうかを見つめ直すよい機会にもなり得るのです。

実施、私自身ボディメカニクスを学んで身体介護のコツをつかんでからは、腰痛とは無縁になりました。

転職をする前に、腰痛改善のためにできる心掛けをしておくことは大切です。

この記事が腰痛に悩む多くの介護士さんにとって助けとなることができると幸いです。

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この記事を書いた人:池田 典子 [Ikeda Noriko]  / 介護福祉士
著者:池田 典子 結婚を機にSEから介護職に転職し、10年間介護の現場に携わってきました。第二子を妊娠中に介護福祉士の資格を取得家事と子育てに追われながらも楽しく仕事を続けられたのは、利用者さんからの笑顔や感謝の言葉のおかげでした。
訪問介護や有料老人ホームでの勤務経験があり、様々な利用者さんやそのご家族の方と接してきました。様々な課題を乗り越えてきた経験を生かし、仕事に対する悩みを抱える介護士の方の助けとなる記事を書いていきたいと思います。