介護士の腰痛予防に役立つボディメカニクスとは?やり方などを紹介!

2022.01.11掲載
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介護お役立ち情報

介護士の腰痛予防に役立つボディメカニクスとは?やり方などを紹介!

「腰痛がひどいけど、このまま介護の仕事続けられるかな?」
「どうすれば日々の業務での腰の負担が少なくなるの?」

介護の仕事は続けていきたいけれど、上記のような悩みを抱え困っている介護士さんは多いのではないでしょうか。

実際、10年介護に携わってきた私自身も初めて身体介護を経験した際にはひどい腰痛にさいなまれたことがありました。
長引く痛みの打開策を見つけられず自分には介護職が務まらないなと落胆していましたが、ふとした学びがきっかけで腰痛に別れを告げることができたのです。

私が身体介護に自信を持つことができるきっかけとなった学びは、ボディメカニクスという介護技術です。

記事では介護職をしているとなぜ腰痛になりやすいのかやボディメカニクスがどんな場面で役立つのかなどについてお話しします。

本章を読むことにより、腰痛でお困りの介護士さんは腰に負担をかけない介助方法について知ることができるでしょう。

介護職に腰痛が多い理由とは

そもそもなぜ介護職員は腰痛になりやすいのでしょうか。

下記にて3つの要因を説明します。

動作要因

動作から来る腰痛要因としては、腰に対して集中的に起こる静的負担と動的負担が挙げられます。
例えば、ベッド上での排泄介助や全身清拭、入浴介助における中腰での洗身作業では大きな動作はないものの長時間前屈みの状態で作業しなければなりません。

上記のような静的負担が続くと腰椎に負担が集中してしまい、腰痛を引き起こしてしまいます。

また動的な負担としては、利用者さんの移乗や体位変換、車椅子での移動など、重い物を持ち上げたり押す・引くなどの動作を頻繁にしたりすることが挙げられます。

静的な負担と動的な負担が連続する上、忙しさの余り作業の合間にインターバルを入れるのを忘れてしまうことも腰痛の原因といえるでしょう。

個人的要因

介護職員に腰痛が多い理由は、職員それぞれの生活習慣や既往症、年齢や性別などの個人的要因によるものが多く挙げられます。
例えば高齢の介護職員の場合、腰痛が起きやすい状態であったり既に慢性化した腰痛を持っていたりすることがあります。

しかしながら、令和3年4月の改正高年齢者雇用安定法により介護の現場では高齢労働者率が上昇傾向にあるのが現状です。

また女性の割合が高い介護職ですが、小さな子供がいると休日も痛めた腰を休める時間が取れないことが多いはずです。

上記のような職員の個人的要因は介護職における腰痛発症の多さに深く関係していることでしょう。

環境要因

介護職員が腰痛を引き起こす理由として、環境的な要因も大いに考えられます。

例えば、部屋に十分なスペースがなく腰に負担がかかりやすい介護をせざるを得ない場合や送迎車の運転などで長時間振動にさらされる場合などが挙げられます。

個人の心がけではどうにもならないことが多く、職場全体が意識して改善していく必要がある問題といえます。

ボディメカニクスとは

ボディメカニクスとは関節や筋肉、骨といった人体組織(ボディ)の力学的な関係(メカニクス)を上手く活用した身体介護技術です。

例えば体全体の筋肉を上手く使ったり、てこの原理を用いたりすることにより、介護士は最小限の力で効率良く利用者さんを介助することができるのです。

ボディメカニクスを介護に取り入れることで、介護士と利用者さん双方の負担は軽くなり、より安全に介護を進めることができるでしょう。

ボディメカニクスの役立つ場面とは

ボディメカニクスの役立つ場面とは

ここで、実際にボディメカニクスが役に立つシーンについて動画を交えながらいくつか紹介していきます。

ベッドからの起き上がり

寝ている利用者さんの起き上がり介助を一つの動作で完結させようとすると、介護士にとっても利用者さんにとっても負担が大きいものとなります。

ボディメカニクスを使った介護では、起き上がりという動作を下記の4段階に分けて行うことで介護士と利用者さん双方の負担を軽減させることができるのです。

1 利用者さんの両手を胸元で組み、両足をくの字に曲げることで体を小さくまとめる
2 介護士側に体位変換をする
3 利用者さんの膝下からベッド下におろす
4 利用者さんの体を起こす

利用者さんの体を起こす際、介護士は足を左右に開いて支持基底面を保つことが大切です。

椅子からの立ち上がり

座っている利用者さんの立ち上がり介助において大切なポイントは支持基底面を取ることと利用者さんの重心が手前にかかるように配慮することです。

利用者さんにお辞儀の体制を取ってもらい介護士が利用者さんを手前に引くように介助することでスムーズな立ち上がり介助を行うことができます。

ベッドから車椅子への移乗

立位の取れない利用者さんを移乗する際にもボディメカニクスは役立ちます。

ポイントは介護士が利用者さんと体を密着させることにより重心を近づけた状態で介助を行うことです。

上記により利用者さんの体を安定して支えることができ、介護士は最小限の力で介助を行うことができるのです。
ついスピードを優先して利用者さんの脇下から持ち上げるように介助してしまう介護職員もいますが、利用者さんに対しても大きな負担がかかるため避けたほうがいいですね。

ベッド上での水平移動

寝たきりの利用者さんをベッド上で水平移動させることは想像以上に腰へのダメージが大きいものです。

特に体格の良い男性利用者さんを小柄な女性介護士が介助する場合、介護士側に非常に大きな負担がかかることでしょう。
水平移動介助の際も、一つの動作で終わらせるのではなくいくつかの段階に分けて利用者さんを移動させていくことがポイントです。

介助する部位を頭部、肩、下半身の順に段階的に行うことで介護士は少ない力で利用者さんの体を移動させることができるのです。

一気に利用者さんを持ち上げてしまえば早く済ませることができますが、腰を守るためにはゆっくりと落ち着いて介助を行う必要がありますね。

腰痛を克服した私の体験談

私が初めてひどい腰痛を体験したのは、訪問介護から有料老人ホームに転職したときのことでした。

それまで経験してきた訪問介護では生活支援のサービス提供が多く、身体介護を提供した日でも腰を休める時間を取ることができていました。

しかし、有料老人ホームではひっきりなしにナースコールが続き、利用者さんの身体介護が連続することにより知らぬ間に腰に負担をかけ続けてしまったのです。
ようやく施設介護にも慣れてきたと感じ始めたころ、ある日突然右腰に激痛を感じ真っ直ぐ歩行することや階段の登り降りが困難な状態に陥ってしまいました。
整形外科に通ったりコルセットを装着したりと腰を守るためにできることはしましたが、一向に回復する気配がなく介護職を続ける自信を失くしていた時期もありました。

しかし、ある日上司からボディメカニクスの存在を教えてもらったことで私の介護士としての道は大きく開くこととなったのです。

はじめはネットなどで調べ、「なるほど〜」と納得していたのですが、実際に学んだ技術を仕事に活かすことは難しいものでした。

そこで、ボディメカニクスを自分のものにするためには実践してみることが1番の近道だと感じたのです。
いち早く技術を身につけるためにも、夫や同僚に利用者さん役をしてもらい、仕事の合間や休日に排泄や起き上がり介助などの練習をさせてもらいました。
練習相手がいないときには10キロの米袋を利用者さんに見立てて練習をしたこともあります。

そのときの練習に一番近しいものが、先にお伝えした動画です。

毎日練習した甲斐あってか、利用者さんの重心の置き方や力の入れ方などを効率的に学ぶことができ、すぐに仕事に活かすことができたかなと思います。
特に寝たきりの方を起こし移乗する場面においては腰への負担が大きく減少したことを感じています。

まとめ

まとめ

ここまで、腰痛予防に有効なボディメカニクスのポイントや方法などをお話ししてきましたがいかがでしたか。

介護士につきものである腰痛は、痛みとともに精神的な負担も引き起こします。

腰痛が原因で仕事がはかどらなくなり、職場の人間関係に悪影響を及ぼす可能性もあることでしょう。

ボディメカニクスを学び実践できるようになれば、上記のような心身負担を軽減させるだけでなく、介護士としての自信も育むことができるのです。

本記事が、腰痛でお悩みの介護士さんに役立つものとなれば幸いです。

この記事を書いた人:池田 典子 [Ikeda Noriko]  / 介護福祉士


著者:池田 典子結婚を機にSEから介護職に転職し、10年間介護の現場に携わってきました。第二子を妊娠中に介護福祉士の資格を取得。家事と子育てに追われながらも楽しく仕事を続けられたのは、利用者さんからの笑顔や感謝の言葉のおかげでした。
訪問介護や有料老人ホームでの勤務経験があり、様々な利用者さんやそのご家族の方と接してきました。様々な課題を乗り越えてきた経験を生かし、仕事に対する悩みを抱える介護士の方の助けとなる記事を書いていきたいと思います。

 

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