介護士が現場で使う略語10選【意味や使い方も紹介】
更新日:2023/1/30
介護士は専門職なので、仕事中に略語や専門用語が多く使用されています。
これから介護士になりたい方や介護士なりたての方は、同僚とのコミュニケーションを円滑にするために、よく使われる略語を覚えておきましょう。
しかし、
「どんな略語がよく使われるか、わからない」
「英語やカタカナの言葉が多くて覚えづらい……わかりやすく教えてほしい」
「略語を覚えないと、仕事に支障がでる?」
と不安や疑問を感じている方も、いらっしゃるのでないでしょうか。
そこで、今回は介護士の略語について、これだけ覚えておけば大丈夫という略語を10個厳選してみました。
介護士の現場で13年間働いてきた経験から、どの職場でも必ず耳にする略語にこだわって選んでいます。
正式名称から意味、具体的な使用例についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
介護士が現場でよく使う略語8選
食介:食事介助
食事をとるのに介助を必要とする方がいる現場では、日常的に使用する略語です。
その名のとおり、介護士が食事を介助することを言います。
先輩や上司から指示を受ける場面で、「○○さんの食介に入ってください」といったように使用されています。
認知:認知症(あるいは認知症状)
こちらは、介護士がよく使う略語です。
記憶を保ったり思い出したりすることが難しい、認知症という疾病を言います。
「○○さんは認知が入っているから、昔のことは覚えていない」 といったように使用されています。
よく使われる略語ですが、本人や家族の前ではうかつに使用しないよう気をつける必要があります。
認知症で悩んでいる本人や家族の方の中には、「認知、などと軽々しく言わないでほしい」と不快に思う方がいるからです。
介護士の中にも認知という言い方が嫌いな方もいるので、周りの人が略語で話しているか確認してから使うのがベターです。
パーキン:パーキンソン病
こちらも疾病に関する略語ですが、看護師やケアマネジャーもよく使用しており、ポピュラーな言葉です。
パーキンソン病は、手の震えや歩行が困難になるといった特徴がある難病のことです。
職員会議などで、「○○さんはパーキンがあるので、歩行時は見守りに注意してください」といったように使用されています。
サー担:サービス担当者会議
生活相談員やケアマネジャーといったサービス担当者会議に出席する方がよく使う略語です。
介護サービスの評価や計画見直しのために、定期的に関係者が集まって開かれる会議をサービス担当者会議と言います。
生活相談員やケアマネジャーから、「○○さんのサー担に行ってくるので、利用時の様子を教えて」といった使われ方があります。
アセス:アセスメント
介護の現場では、日常会話のように使われる略語です。
利用者さんの日常生活上の要望を探すために、身体状況や家族状況などの情報を精査することを意味しています。
たとえば、1人暮らしだけど心臓に持病があり買い物に行けない方の場合、食事の用意が日常生活上の要望と考えられます。
このように、身体状況や家族状況から、その方が求める要望を考えることをアセスメントと呼びます。
今回のケースですと、訪問介護士さんを派遣して食事の用意をしてもらったり、配食サービスを使って食事を届けてもらったりといった支援が考えられるでしょう。
また、介護現場でアセスと言ったら、利用者さんの情報が載っているアセスメントシートを指すこともあるので注意してください。
「○○さんのアセスの内容を教えて」、「○○さんのアセス(アセスメントシート)はどこにあるの」といったように使われています。
GE:グリセリン浣腸
介護現場だけでなく、医療現場でも当たり前に使用されている略語です。
便が何日間も出ない方の排便を促す浣腸のことで、中でも、介護現場でよく使用されるのがグリセリン浣腸です。
介護記録などで「GE施行」と書いてあったら、グリセリン浣腸を使用したという意味なので覚えておきましょう。
薬は、カタカナで長い名前が多いので、略語で使用されている薬も多くあります。
たとえば、ラキソベロンなら「ラキソ」、マグミットなら「マグ」といった略語がよく聞かれます。
サ高住:サービス付き高齢者向け住宅
ケアマネジャーや病院の相談員といった介護サービスをマネジメントする方が、よく使う略語です。
サービス付き高齢者向け住宅とは、特別養護老人ホームや有料老人ホームといった入居施設の形態の1つで、希望する時にだけ介護サービスを受けられる特徴の施設です。
ケアマネジャーさんとのやり取りなどで、「○○さんの、次の入居先はサ高住ですね」といった使い方があります。
OT:作業療法士
自分の職種を相手に伝える時に、利用される略語です。
作業療法士とは、食事やトイレ、家事といった日常の生活に関わる動作をサポートするリハビリテーションの専門職。
同じリハビリテーション職の理学療法士は「PT」、言語聴覚士は「ST」と略語で呼ばれています。
職員同士の挨拶の場面などで、「はじめまして、OTの○○です」
といった使い方がポピュラーです。
ADL=日常生活動作
高齢者介護の現場では、当たり前に使用されている略語です。
日常生活動作とは、食事や入浴、排泄に移動といった日常生活を送る上でで必要な動作の総称になります。
職員会議などで、「今度利用される〇〇さんのADLについて説明します」
といった使われ方をされています。
その他(覚えておくとさらに便利な略語)
最後に、覚えておくと便利な単語も簡単に紹介します。
今後介護士として働いていく中で、「あれ、この略語はなんだっけ?」と思ったら見返してみてください。
これまでの略語より使用頻度は低いので、今すぐ覚えなくても大丈夫です。
DM=糖尿病(あるいは糖尿病を患っている人)
アルツ=アルツハイマー型認知症
レビー=レビー小体型認知症
もの盗られ=もの盗られ妄想
予防=介護予防
サ責=サービス提供責任者
包括=地域包括支援センター
レセプト=主に事務職員が担当する、介護報酬を申請するための手続き業務のこと。
時短=主にデイサービスで使われる略語。通常の利用時間より短くサービスを利用すること
介護士の略語は自然に身につく
介護士の略語は働いていくうちに自然と覚えていきます。無理やりに頭に叩き込まなくても大丈夫なので、安心してください。
略語は、言葉の意味がわからなくても、文脈からなんとなく理解できます。
最初は、なんとなくでも大丈夫です。
何度も同じ言葉を聞いて働いていくうちに、自然と自分も使いこなせるようになります。
そうは言っても、略語を簡単に使いこなしている人を見ると、「言葉の意味もわからないと足手まといになるのでは…」と初めのうちは心配になりますよね。
実際に、私も経験が浅くて自信がない時は、専門用語や略語を使いこなす先輩がものすごく仕事のできる人に見えていました。
ですが、初めから仕事のできる人間なんていませんよね。
わからないことは、わかる人に質問して教えてもらいましょう。
介護現場では、新入社員や未経験の方には、必ず教えてくれる先輩がつきます。
初めのうちは、マンツーマンで指導してくれるため、会話の機会も多くあるでしょう。
「皆さんがよく使っている略語の意味がわからなくて……」と一言伝えてから質問すれば、快く答えてくれるはずです。
略語は後から自然と身につくものなので、「そのうち覚えるさ」とリラックスしていきましょう。
介護士の略語を覚えた後に注意すること
略語を覚えて使いこなせるようになると、ついつい多用してしまうかもしれません。
ここでは、私の失敗経験もまじえて、略語で失敗しないための注意点を説明しますね
介護士の略語を知らない人もいる
家族が参加する会議や、病院や役所のカンファレンスの際は、なるべく略語は正式名称で話しましょう。
略語を当たり前に話すと、家族や病院のスタッフ、役所の職員があなたの話がわかりにくいと感じてしまうかもしれません。
介護士にとって意味が理解できる略語でも、家族や医師、役所の職員にとってなじみがない言葉の可能性があります。
介護士の略語を使って失敗した事例
私の失敗談ですが……
私が生活相談員として、サービス担当者会議にて、奥様に旦那様の様子を伝える時のこと。
奥様に「旦那様のADLは改善されており、DM(=糖尿病)があっても楽しんでデイサービスを利用されています」と話したことがありました。
奥様はニコニコして聞いていましたが、後でケアマネジャーさんから教えてもらってびっくり。
「あの相談員さんの話は難しいね」と奥様は話していたそうです。
略語は、知らない人が聞くと、難しくて理解しにくい言葉なのですね。
その失敗以来、私も略語を使う際に、相手や場所を考えるようになりました。
家族や関係者の人と話す時は、正式名称でわかりやすく話すのがおすすめです。
そうすれば、家族や関係者の方も聞きやすくなり、話の内容もスッと頭に入るようになるでしょう。
すると、「わかりやすい話をしてくれる人だな」と、あなたの評価もきっと上がるはずです。
介護士の略語にはメリット・デメリットがある
略語の解説から略語を覚えた後の注意点までお話させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
略語には、短い単語で意味を伝えられるメリットがあります。
一度覚えれば、同僚とのコミュニケーションがきっとやりやすくなりますよ。
反対に、略語を知らない人に使ってしまうと、せっかくの情報が伝わりにくくなるデメリットも。
メリットとデメリットの両方に気をつけて略語を使い、介護士の仕事を楽しんでください。
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その後、素晴らしい仲間との出会いや仕事への気づきから、介護の仕事が楽しいと思える日々を送ることができました。
今では「バーンアウトを経験したから、今がある」と考えています。
13年間介護職として働いてきた経験を活かして、皆さまのお役に立つ記事を書いていきたいと思います。写真は私の似顔絵で、7歳の娘が描いてくれたものです。