大きなミスをしてしまい看護師として働くのが怖い!これって私だけ?
更新日:2023/1/30
看護師として働いているとヒヤッとしたことや、ドキッとしたことがありませんか。
もしくは患者さんを危険な目に合わせそうになった、中にはもう少しで患者さんの命が危なかった……
そういう方もいるかもしれません。
ミスを起こすと自信がなくなったり、職場に行きたくなくなったりしますよね。
「こんなミスをするのは自分だけ?」「自分はもう必要ないのでは?」と思いつめてしまう方もいるかもしれません。
しかし、ミスを起こすのはあなただけではありません。
みんなはミスをどうやって乗り越えたのか、どう対処したらいいのかまとめました。
この記事を読んで心が軽くなったり、また頑張ろうと思ったりできたらうれしいです。
目次
ミスはどんな人が起こしやすい?
ミスを起こしやすい人はどんな人なのでしょうか。
経験年数が0〜4年の看護師が半数を超えて最も多く、次いで10〜14年、その次が5〜9年が多いと報告されています。…※1
年齢が若い、看護師経験が浅い、部署移動してきて日が浅い看護師はミスを起こしやすい傾向があるようです。…※2
また、ある研究報告では看護師全体のうち6割以上が半年に1回以上ミスを起こしているとも報告されています。…※3
このことからも、大なり小なりミスは誰でも起こしてしまうといえるでしょう。
とはいえミスを起こしてしまうと落ち込んでしまいますよね。
ミスを起こした後は自分の殻に閉じこもってしまい自分を追い込んでしまうタイプが約6割です。…※4
また同じようなミスを起こすのが怖いと思ったり、自分は必要のない人間だから職場に行きたくないと思ったりする人もいるでしょう。
しかし、ただ落ち込んで自分を責めるだけではミスの根本的な原因がはっきりせず何も解決しません。
自分を責める状態が続くと最悪の場合、精神を病んでしまうことだってあります。
大事なのは次に同じようなミスを起こさないように行動することです。
ミスをしたらどうすべきか。乗り越える方法とは?
では、ミスをしたらどう対処したらいいのでしょうか。
おすすめの方法を3つお教えします。
振り返りを入れる
1番いいのは先輩を交えて当事者同士で振り返りをすることです。
振り返りをすることで今後はどう行動したらいいのか、同じような場面に当たったらどう対処したらいいか勉強することができます。
新人さんだったらプリセプターと振り返りをすることがいいでしょう。
難しければ、信用できる先輩に時間を作ってもらうのもいいと思います。
病院によってはリスクマネージャーなど相談ができる部門があるかもしれません。
1人で抱え込まないでくださいね。
あなたは一人ではないですよ。
休日に気分転換する
他にも休みの日に大好きな趣味に没頭したり、マッサージをしてもらったり気分転換をしましょう。
人それぞれ方法はあるでしょうから、いったん仕事から離れて気持ちを切り替えることが大切です。
そんなに簡単にできない!と思う人もいるかもしれませんが、自分の精神状態を守るためにもできる範囲でリフレッシュしていきましょう。
新しい知識を取り入れる
気持ちを切り替えることができたら、自分の知識や技術が未熟じゃないかを確認してみましょう。
自主的に勉強する、勉強会や研修に参加するなど対策できたらいいですね。
また部署のインシデントレポートを読んで、みんながどのようなミスをしているのか確認をしましょう。
確認することでいろんな場面を想定し、似たようなミスを回避することができるようになります。
筆者の起こしたミスと、立ち直った方法
私の1番大きなミスは、大腸ポリペクトミー(肛門からカメラを入れて内視鏡的にポリープを切除すること;以下ポリペク)後の患者さんの話です。
ポリペク後は排便時に出血がないか確認をする必要があり、出血したらすぐにドクターコールをしなくてはなりません。
その説明は新人に対してあった、あるいは自分で勉強して知識としてはあったと記憶しています。
当時新人だった私はポータブルトイレに10円玉ぐらいの大きさの出血を確認したのですが、
「このくらいの出血でドクターを呼ぶのは大げさなんじゃ……」
と思ってしまいました。
患者さんの容態が変わる出血のイメージが、便器が真っ赤になるくらいの量だったからです。
患者さんの血圧は普段と変わりなく、いつも通りに過ごしていたので
「意外と大丈夫そうだな、すぐ血は止まるだろう」
と思ってしまい報告しませんでした。
もちろん気にはなっていたので、定期的に血圧測定はしていました。
夜勤への申し送りの時にこのことを先輩看護師に報告したらその後は大騒ぎになってしまいました。
今思えば当然です。
ドクターに大至急コールをして、点滴を全開で落としてそのまま内視鏡室へ向かい止血術を行う事態になってしまいました。
その後は先輩とドクターに注意され、プリセプターと話をしましたが、当時はミスをしたことでパニックになってしまい、正直なところよく覚えてません。
とにかく落ち込んで、泣きながら帰ったと思います。
その後も他の人にちゃんと相談できず、自分を責めて自分の殻に閉じこもっていました。
もちろん職場に行きたくないし仕事なんてしたくありませんでした。
もうひとつは同じようにポリペク後の患者さんの話です。
ポリペク後は大腸に負担をかけないために、電子カルテ上で「食事は半量」とだけ指示がありました。
特にドクターからは半分にして配膳を、という具体的な指示はありませんでした。
患者さんも大人で話が通じる人だからと考え、患者本人には半分だけ食べてくださいと伝えてそのまま配膳しました。
体格のいい男性で、しばらく絶食していたのでお腹も空いていたのでしょう。
もちろん完食されてしまいました。こちらも今思えば当然ですよね。
ドクターに報告しましたが、幸いにも患者さんに影響はなくホッとしたのを覚えています。
とはいえ、ミスばかりする自分が嫌で仕方ありませんでした。
どちらのミスも最終的には先輩と話をして今後はどう行動したらいいか話し合いをしました。
先輩としっかり話をすることで「もっと頼っていいんだ」と思うことができたことを覚えています。
他にも同期とご飯を食べに行ってお互いの失敗談を話したり、他愛もない話をしたりしました。
しっかり仕事ができていると思っていた同期もミスを起こしていることを知って、自分だけじゃないのだと正直安心しました。
このように一時的に塞ぎ込むことがあっても誰かと話す、自分の感情を出す、ということはとても大切だと思います。
もし職場の人と話したくないなら、同じ職場じゃない学生時代の友達でもいいでしょう。
家族も親身に話を聞いてくれると思います。
ミスをしてしまったことに悩むあなたは、とても真面目な方です。
患者さんや仕事に真摯に向き合うからこそ、ミスをしたことに対して考え過ぎてしまうのでしょう。
ですが、思い詰めすぎると思わぬ結果を招くことにもなってしまいます。
私の先輩に大きなミスを起こしてから精神的に不安定になり、辞めてしまった方がいます。
後から教えてもらいましたが、ミスをしてから周囲からどう見られているか不安で怖かったと聞きました。
精神が不安定になると退職や休職が必要になることもあります。
最悪の場合うつ病になってしまったり、長期療養をすることにも繋がりかねません。
ミスを起こすのは職場環境のせい?
ミスが起こる原因として職場の環境も考えられます。
雰囲気が悪く他の人に声をかけづらいなどの「連携不足」や、
余計な仕事が多いなどの「業務の多忙」、
長時間労働など「過酷な勤務」
といった環境の影響もあると看護研究で明らかになっています。
他にもマニュアルがなく業務の仕方が統一されていない、注意書きがわかりづらいなどの原因もあります。
このような場合はカンファレンスで議題をあげて情報共有をし、問題点をはっきりさせましょう。
他の人の意見を取り入れながら少しでも改善できたらいいですね。
さらに、問題点が病院のシステムが原因、という場合もあります。
スタッフみんなで声をあげてシステムを変えてもらうことが必要です。
システムが変わらなければ、同じようなミスがまた起こる可能性は高いですよね。
正確なシステム作りも患者さんを守るうえで大切なことです。
しかし、1人を責める風潮がある、公開処刑のようにみんなの前で怒られる、ミスをした人を無視するなどイジメのようなことをする職場も少なからずあります。
どうしても改善が見込めないのであれば、部署移動をしたり転職を考えたりしてもいいでしょう。
まとめ
ミスは看護師として働いている以上、避けては通れません。
誰にでもミスはつきものですが、それでも落ち込んでしまいますよね。
しかしいつまでも落ち込んでいると自分自身を否定して、最悪の場合だと精神的に病む人もいます。
すぐに気持ちを切り替えるのは難しいですが、周囲の人と話をして気持ちを整理していきましょう。
ゆっくりでも自分のペースで、次に活かせるよう成長していけたらいいですね。
参考文献
1)https://www.med-safe.jp/pdf/report_68.pdf p.30
2)https://www.jstage.jst.go.jp/article/kmj/66/4/66_279/_pdf p.1
3)https://www.jstage.jst.go.jp/article/kmj/66/4/66_279/_pdf p.3
4)http://www.medsafe.net/specialist/14kama.html
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その後はフリーで循環器内科や自由診療のクリニック、PCR検査所などを経験。
フリーで働く前はうつ病で働けない期間があり、心身を犠牲にしてまで働くことに疑問を持ちました。回復後は自分に合った働き方を模索し、自分が本当にしたいことをして働こうと決めました。
みんなが無理なく楽しく働けるようになったらいいなと思っています。