看護師でルート確保が苦手な方必見!コツと探し方で成功率アップ
更新日:2023/1/30
これを読んでいるあなたは、もしかしてルート確保に苦手意識を持っていませんか?
そして
「失敗して、患者さんに痛い思いを何度もさせたくない……」
「早く上達したい!」
そう思っていることでしょう。
実は、私も大の苦手で、点滴をする……と思うだけで緊張してしまっていました。
患者さんに点滴をする時、必要になるのがルート確保です。
でも、針を「ここ!」と思った血管に入れるのは意外にも難しいものですよね。
血管の位置、硬さ、太さ、見えるかどうかも、患者さんによって様々。
そして、高齢になればなるほど皮膚のたるみやシワで、針を刺しにくい……
そんな場合もあります。
ですが、ちょっとした工夫で、それらを解消できるようになります。
この記事では、筆者が実際に経験したルート確保のコツや血管の探し方、皮膚にシワやたるみがある時の工夫を、詳しく説明します。
これを読めば、ルート確保で悩むことはきっとなくなるでしょう。
そして、この記事で解説していることを実践すると、ルート確保の成功率をアップさせることができるようになります。
あなたの抱える「苦手意識」を、一緒に吹き飛ばしましょう!
目次
ルート確保の方法は?
ルート確保の手順をもう一度おさらいしましょう。
ここでは、血液逆流防止弁付き留置針の場合を取り上げます。
- 駆血する前に、留置針を刺入できそうな血管を探す
- ここ!と思ったら駆血する
- 刺入したい部位を消毒する
- 血管が逃げないように、患者さんの皮膚を末梢側に軽く引っ張る
- 針を、皮膚に対して約20度の角度で素早く刺入する
- 逆血が確認できたら針をやや寝かせ、2?3mm進める
- 外筒だけを根元まで血管内に進める
- 駆血帯を外す
- 内筒を抜く
- 点滴ラインを接続して、点滴製剤の落下を確認する
- 刺入部を固定する
- 落下速度を調節する
看護師であれば誰もが知る手順ですが、中でも最も難しい……と感じるのが、
①の「刺入できそうな血管を探す」と
④「血管が逃げないように、患者さんの皮膚を末梢側に軽く引っ張る」
ですよね。
まず、血管が見えないとどこを狙っていいのか分かりません。
そして、狙った血管が逃げないように皮膚を引っ張るのも、若くて張りのある肌なら簡単ですが、高齢者の場合は皮膚の弾力もなく、針先に押されて皮膚がゆがんでしまうこともあります。
では、そんな時はどうしたらいいのでしょうか?
ルート確保の成功率を上げるコツ
ルート確保の成功率を上げるコツを3つ、紹介しますね。
シワやたるみのある皮膚の場合も解説しました。
患者の体位と刺入部位と自分の立ち位置を整える
患者さんの体位や自分の体勢が悪いと失敗することがあります。
あなたが作業しやすい体勢を作るところから始めましょう。
5つのポイントを意識してみてください。
- ベッドの高さが自分の姿勢に合っているか?
- ベッド柵は外してあるか?
- 患者さんの腕が作業しやすい角度にあるか?
- 作業スペースが狭くなっていないか?
- 物品は手元に全てそろっているか?
この5つを意識して、自分が最も作業しやすい体勢を整えるだけでも、成功する確率が上がります。
急いでいる時、ついおざなりになりがちな部分ですが、ほんの少し時間をとって確認することが大切です。
見えない血管もある!成功の秘訣はじっくり探すこと
刺入する静脈を探す時は、どうしても目に見える静脈を狙ってしまいがちですよね。
私もそうです。
でも、実は表面に見えている血管は、案外細かったり、固かったり、もろかったりします。
何度も繰り返し点滴を受けている患者さんは血管が固くなったり、止血がうまくいかずに皮下出血斑として広がり、血管が見えにくくなっていることもありますよね。
そんな時は、見えない血管を探してみましょう。
「見えない血管?どうやって探すの?」
と思ったかもしれません。
でも、実は結構あるのです。
ポイントは「手で触ること」。
一時的に駆血するのも1つの方法です。
手で触ると、ぷっくり、プニプニした感触です。
たとえば、採血でよく使う橈側正中皮静脈を思い出してみましょう。
ぷっくりしていていませんか?
あの感触で探していきます。
見えない血管は意外にも太くて、走行がまっすぐなことが多いため、点滴に適した血管です。
そして、これを見極められるようになると、まず、失敗することはなくなります。
見えない血管は、前腕の橈側や、尺側背面で見られます。
じっくりと、慌てずに探してみましょう。
シワやたるみのある皮膚の時はどうする?
高齢者に多いのが、皮膚にシワやたるみがあることです。
痩せてシワシワ、皮膚がたるんで、血管も見えにくい状態にある患者さんは、結構います。
それを見ると
「どうやって刺したらいいんだろう……」 と悩んでしまいますよね。
そんな時は、皮膚の引っ張り方を工夫してみましょう。
たとえば、皮膚を前後に伸ばすようにする方法があります。
血管を固定する時に親指で皮膚を末梢側に引っ張りますよね。
それと同時に、人差し指で反対側に皮膚を伸ばすやり方です。
ですが、このやり方は、ちょっと難しいかもしれません。
私の場合は、刺したい部位の腕を下から「ガシ!」っとつかみ、腕を固定するとともに、皮を引っ張る方法でやっています。
シワやたるみのある皮膚はズレやすいので、下から引っ張るように固定するとピンと皮が張り、血管がよく見えるようになります。
針を刺入し、血液逆流が見られたら手は離して大丈夫です。
あとは、血管内に針を進めるだけですから、慌てずに取り組みましょう。
この方法は、シワやたるみがなくなるだけでなく、引っ張られた皮膚に固定されて血管も逃げにくくなるため、一石二鳥でオススメですよ。
何度か、患者さんに断って、皮膚を引っ張る練習させてもらっても良いですね。
コツさえつかめば、どんな皮膚でも対応できるようになりますよ。
苦手意識を吹き飛ばそう!見て盗んで実践!
「苦手だな」と感じると、つい避けてしまいたくなるものですよね。 けれど、上達には上手な人の真似をすることと、イメージトレーニング、実践が不可欠です。
私の場合、上手な先輩の手技をとにかく見て回っていました。
すると、その先輩ならではの工夫も見えてきます。
たとえば
- 固くてキョロキョロと逃げる血管には、針を立てぎみにして、素早く刺す
- 細い血管は、血液逆流が確認できたら内筒を少し引き、皮膚ごとすくうように針先を進める
- 血管が弱い場合、アプローチしたい血管に針先だけでも入ったら良しとする
- 脱水気味の血管は、針先が血管内に入った段階で点滴を滴下させ、血管を広げながら外筒を進める
などですね。
先輩はとにかく経験豊富なので、その手技を見習いましょう!
それと、点滴が得意な先輩に自分の手技を見てもらうのも大切です。
もし失敗したとしても、どうしたらうまくできたのかフィードバックをもらえるからです。
恥ずかしいと感じたり、先輩に時間をさいてもらうのは申し訳ないと思ったりするかもしれません。
でも、自分では気づかなかったことを指摘してもらえるのは、上達への近道です。
私も何度も先輩に見てもらいました。
そのおかげで、少しずつ上達できたのです。
そうするうちに、
- 細い血管でも一発で入れられるようになった
- 血管がなさすぎて誰も刺せなかった患者さんの見えない血管を探りあて、すぐに刺入できた
こんな場面が何度かあって、「あ?、上達したな?」と感じました。
だから、あなたも
「上手な人の手技を見る」
「工夫ポイントを聞いてみる」
「実践してみる」
「振り返る」
このサイクルを大切にしてみてください。
苦手意識が針先を鈍らせる?
あなたはもしかしたら、「嫌だな」「苦手だな」「失敗したらどうしよう」と毎日悩んでいるかもしれません。
ですが、その気持ちが針先を鈍らせる原因にもなります。
理由は、針を刺す時は思い切りが大切だからです。
「失敗したらどうしよう、怖い」 という気持ちが緊張をもたらし、体をこわばらせます。
その結果、あなたの手首、指先の動きがぎこちなくなってしまうのです。
そして、その緊張が狙った血管を逃したり、力みすぎて貫いてしまったりさせてしまいます。
だから
「失敗しても大丈夫、上達のための経験値になる」
「患者さんに教えてもらっている」
「もし失敗したら誠心誠意謝って、先輩に交代してもらおう」
と、割り切ってリラックスして望むことが大切です。
ルート確保は、誰しもが失敗する可能性のあるものです。
失敗した分だけ、次の実践にいかせるポイントが見えてくるものですから「全ては学び」という気持ちを持って、ぜひ前向きに取り組んでくださいね。
気持ちが落ち着くと失敗は減るものです。
大丈夫ですよ。
まとめ
ルート確保は看護業務の中でも頻度が高く、安楽に過ごしてもらうための看護を目指す私たちにとっては、患者さんに苦痛を与えてしまう唯一の手技かもしれません。
だから、できるだけ失敗したくないと感じるのは当然です。
今回は、
- 自分が作業しやすい姿勢、5つのポイントを意識する
- 見えない血管を探せるようになると失敗が減る
- シワやたるみのある皮膚は皮膚を伸ばしながら刺入する
この3つのコツを実践するとルート確保の成功率が上がるということをお伝えしました。
さらに、上達には、先輩の手技を見て盗むことと、ひたすら実践することが上達への早道でしたね。
実践する際は「全ては学び」という心構えで落ち着いて取り組むことも、ルート確保の成功率を上げるポイントです。
病気と闘う患者さんに余計な苦痛を与えないためにも、ここが踏ん張りどころですよ。
そのうち、「あれ、私、上達したかも?」と感じる場面が、きっと出てきます。
今は失敗知らずの先輩たちも、失敗と成功を繰り返して上達してきたはずです。
だから、あなたもきっと大丈夫です。
あなたがこのページにたどり着いたということは、「患者さんのためにも上達したい!」と強い気持ちを持っているはずです。
すでに上達への一歩を踏み出していますよ。
関連記事
社会人から回り道をして看護師資格を取得しました。
超急性期・慢性期の病棟勤務を経験し、訪問看護の道に入りました。訪問看護は5年目に。
2回の転職や、頑張りすぎて体調を崩した経験を教訓に、現場で頑張る看護師の皆さんに寄り添った情報をお伝えしたいと思っています。