賃金アップ? 看護師の処遇改善について解説します!
更新日:2023/1/30
コロナ大流行の中、大変な状況で働いている看護師の皆さん、令和4年1月、厚生労働省から、看護職員の賃上げについてのお知らせが出たことをご存じでしょうか。
今日はそのお知らせについて詳しく説明していきます。
看護師の処遇改善とは
令和4年1月11日、厚生労働省から各都道府県へ「看護職員等処遇改善事業実施要綱」が通達されました。
こちらには、「地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に(中略)収入を1%程度(月額4000円)引き上げるための措置」と記載されています。
つまり、お給料をあげてくださいと国から通達があったわけです。
つらい状況で働いている看護師の実情が、社会に受け止めてもらえたということですね。
これはとても喜ばしいことです。
目的は?
厚生労働省のホームページによると
「新型コロナウイルス感染症への対応と、少子高齢化への対応が重なる最前線において働く看護職員の方々の収入の引き上げを図る」
とあります。
コロナ禍で逼迫する医療現場の状況を受け、離職者を減らすことや、臨床から離れている有資格者の確保のため、賃金アップの対策がとられるということでしょう。
対象者は?
誰がこの賃金アップを受けられるのか、気になるところですね。対象の施設、そして対象者について詳しく見ていきましょう。
対象施設
・令和4年2月1日時点において、診療報酬における救急医療加算対象となっており、かつ令和2年度の1年間における救急搬送件数が200件以上の施設
・3次救急を担う医療機関(救命救急センター)
これらの施設に所属する看護職員でないといけません。
あくまでも今回は「救急医療」に特化した政策であり、2次救急やその他療養病院、施設等は該当しないということですね。
対象者
・看護職員(非常勤職員を含む)
・ただし、看護補助者、理学療法士、作業療法士、その他別表に定めるコメディカルである職員(非常勤職員を含む)についても、本事業による処遇改善の対象者に加えることができるものとする
医療はチームで提供されるものであり、他コメディカルも対象になるというのは良いですね。
いつから始まるの?
厚生労働省からのお知らせには「令和4年2月から9月までの間(中略)賃金改善を行う対象医療機関に対して、当該賃金改善を行うために必要な費用を補助する。」と記載されています。
賃金をアップさせたことを申請すると、その分を国から補填してもらえるという制度であり、「令和4年2、3月から実際に賃上げを行っていること」が条件とされています。
また、2月の支給に間に合わない場合は、3月に2月の賃金改善分も同時に支給することが必要とされています。
早い方では、2月のお給料からこの賃上げが実感できるというわけですね。
ところで、「2月から9月まで」という期間が限定されているのはなぜなのでしょうか。
これは、10月以降は、この制度での補填ではなく、診療報酬の見直しにおいて看護職員の処遇改善の仕組みが創設されることになったそうです。
診療報酬を引き上げると、病院に入ってくるお金が増えますよね。そこから看護職員の給料を3%(月額12000円)引き上げる政策となっています。
本当にもらえるの?
対象施設、対象者に該当するから、2月からお給料がアップする!と手放しに喜んでよいのでしょうか。厚生労働省のホームページに気になる記載を発見しました。
Q&Aに「全ての看護職員について一律に4000円の賃金改善を行わなければいけないのか」という問いがあります。
これに対する回答に「看護職員の職位・職責・職務内容等に応じて個別の看護職員の賃金改善額を決定することができる」と書いてありました。
つまり、対象施設・対象者に当てはまっていたとしても、4000円アップが望めない人もいるということです。
また、令和3年度中(2月と3月)は一時金としての支給が許可されていますが、新年度、令和4年4月からは、毎月支給される金額として規定されなければいけないことになっています。
これは病院経営不良によって基本給与や賞与が減少したとしても、その減少した金額から今回の制度分(月額4000円)が付与されていれば良いとされています。
単純な話、お給料が月4000円、もしくは賞与が年間48000円(4000円×12か月)減少する見込みであれば、手取り金額としては全く増えないということになります。
10月からは月額12000円ほどのアップとされていますから、もう少し増えるのでしょうか…まだなんとも言えない状況ですね。
まとめ
まだ具体的にどのように手元に届くのかは分かりませんが、政府がこのような意識をしてくれていることは嬉しく思います。
ただ、もし今あなたが病院での待遇面や人間関係にフラストレーションを抱えているのであれば、より待遇面や職場の雰囲気が良い場所を選ぶことをお勧めします。
看護師免許を活かしながら働ける職場はたくさんあります。
病院と言っても施設によって特徴は様々です。ぜひ、自分に合った職場を探し、そこで素敵な看護が提供できるよう心にゆとりを持っていきましょう。
参考資料
・厚生労働省-看護職員等処遇改善事業(外部サイト)
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