看護師の残業実情 ~みんなどのくらい残業しているの?
更新日:2023/1/30
看護師として働いていると、患者情報収集のために早く出勤する必要があったり、勤務時間が終わっても残業をしなければならなかったりと、規定以上に勤務時間が長くなる傾向があります。
最近ではワークライフバランスを大事にしている方も増えてきており、規定の時間以上に働かなければいけないって、結構ストレスがありますよね。
みんな残業をしているとはいえ、実際どのくらいなの?お給料は発生しているの?などの悩みにお答えしつつ、転職するならどのような点に気をつけたらいいかを解説していきます。
自分の許容範囲に応じてお仕事を選んでいきましょう。
目次
残業時間の平均
日本看護協会調査研究報告書に、2020年9月における1人あたりの月平均超過勤務時間が報告されていました。
「超過勤務なし」と答えた方もいましたが、およそ9割の人が「超過勤務あり」と回答しています。
超過勤務の時間は「1~4時間未満」が34.7%と最も多く、次に「4~7時間未満」が20.7%でした。全体の平均は4.4時間でした。
また、日本医療労働組合では、看護職のみならず、コメディカルや医師も含めた残業時間の調査を行っています。
2021年3月の報告では、始業前の残業は「なし」が33.1%、「30分未満」が40.9%、「30~60分」が20.0%、「60分以上」が7.7%でした。
終業後の残業は「なし」が39.5%、「30分未満」が13.5%、「30~60分」が16.4%、「60分以上」が23.4%でした。
こちらは月平均ではなく1日のうちの残業時間となります。
やはり多くの人が残業をしている現状がありますね。
残業の理由
9割もの人が残業をしなくてはならない理由は何なのでしょうか。
日本医療労働組合連合会の2017年の発表によると、残業の理由は
「記録」「情報収集」「患者対応」
がほぼ半数以上を占めているということです。
その他には「委員会や係の業務」「研修への参加」などがあげられています。
看護師としてしか勤務したことのない筆者にとって、これはよくある光景でしたが、確かに一般企業と比べるとこのような時間はあまり発生しないかもしれませんね。
このような規定時間外労働がつらくなって離職につながるといった例もよく耳にします。
残業代の実際
請求方法について
時間外労働が嫌だと言っても、始業前に患者さんの情報をしっかりと把握することはより良い看護につながりますし、患者さんからの要望があれば無視することはできないので、全く残業をしないということはなかなか難しいですよね。
しかし、頑張った分だけ報酬はもらいたいと思うのが正直なところ。
時間外労働の賃金、いわゆる残業代の請求方法は施設によって異なり、紙に書いて申請するところもあれば、デジタルで入力するところ、タイムカードで自動的に計算されるところなど、様々です。
残業代請求、していますか?
2021年3月の日本医療労働組合連合会の発表によると、終業後の残業代を「全額請求している」と答えた人は全体の43.4%でしかなく、「一部請求している」と答えた人は29.6%、「していない」と答えた人は24.5%だったそうです。
全体の半数以上が、十分な残業代を請求していないという結果でした。
なぜ残業代を請求しないのか
では、なぜ残業代を請求しないのでしょうか。
同じく日本医療労働組合連合会の発表によると、
「請求しづらい雰囲気がある」
「上司に請求をするなと言われている」
「請求の仕方がわからない」
などの理由が挙げられていました。
請求しづらい雰囲気というのは、筆者にも経験があります。
以前勤めていた病院では、紙に残業の開始時間(規定時間の終了時間)と、実際の終業時間を記載する方式でした。
管理者から「残業をとっていいよ」と許可が出た時のみ申請が許され、自分で残業代を請求したいとは言い出しづらい状況でした。
しかし、現在勤めている病院では、出退勤がパソコンへの入力で管理され、残業代の請求もその中でできるようになっています。
10分単位で請求でき、管理者の方からも「働いた分はしっかり請求して」と頻繁に言われており、とても請求しやすい環境です。
今年から始業時間前の情報収集についても前残業として申請ができるようになり、非常にありがたいです。
職場選びで見たいポイント
残業がつらくて転職したいと思っても、どういう職場を選んだら状況が改善されるのかわからないですよね。転職した経験や、同僚たちの経験を元に解説していきます。
入職前に「残業時間」をチェック
求人情報などに、月の残業時間が記載されています。
労働日数は20日程度ですので、月20時間であれば毎日1時間程度の残業があるということです。
これは平均なので、残業がある日もあれば、ない日もあるということではありますが、20時間ほどでしたらだいたい残業はあると思っておいたほうがよいでしょう。
残業の多い部署をチェック
総合病院ですと、慢性期よりは急性期のほうが残業は多い傾向にあります。
さらに急性期病院の中でも、外科的な部署のほうが、患者の入れ替わりも多く、点滴や検査など日々のやることが多いため、残業が多くなることがあります。
逆に外来やICUなどのユニット系は、比較的残業が少ないと言えます。
筆者の病院では外科系病棟は毎日1~2時間の残業が当たり前ですが、筆者の所属するICUでは平均30分程度です。
もちろん、急患がくればその日は残業になりますが、次の勤務者へ引き継ぐことができるため、記録が終われば帰れるといった感じです。
ただ、全体として残業が多い病院では、どの部署にいても残業が多い傾向にありますので注意が必要です。
残業がない職場をチェック
総合病院ではなく、クリニックや健診センターなど、業務内容としてルーチンワークが基本な職場は残業が少ないです。
それに準じて、リハビリ病院や訪問看護なども、日々の業務があらかた決まっているので、残業は少なくなると言えます。
ただ、夜勤がないなどで、総合病院に比べてお給料がやや劣ることはあると思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回、看護師の残業事情を調べていく中で、思ったより残業をしている人が多いこと、さらにその多くが残業代を請求できない環境であることを知り、驚きました。
看護師は人の役に立つ素敵な職業だと思いますが、その責任感ゆえ自分を犠牲にして働いてしまう人が多いのでしょう。
しかし、人に優しくするにはまず自分に優しくしなくては。
残業がつらいと感じているならば、業務改善を申し出たり、思い切って部署や職場を変えてみたり、何かしらの働きかけをしてみましょう。
加えて、残業代を請求することは当然の権利です。
ぜひ職場の雰囲気に流されず、残業代を請求する雰囲気にしていきましょう。
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