訪問介護に向いている人はどんな人?その仕事内容とは?
更新日:2023/1/30
訪問介護に興味があるけど自分に出来るかわからない、と不安に思っている方はいることと思います。
特に施設勤務の経験しかない方や出産育児などでブランクがある方にとって、一人でケアをこなさねばならない訪問介護に対しては不安が大きいはずです。
実際訪問介護に3年程携わっていた私も、出産育児のブランク後は自分に仕事が務まるかどうか非常に不安になりました。
責任感が必要な訪問介護ではありますが、サービス提供へのやりがいは非常に大きく魅力的な仕事であると思います。
この記事では、訪問介護の仕事内容や向いている人の特徴、一日のスケジュール感、働く上での醍醐味などを紹介します。
全章を読み終える頃、あなたが訪問介護に向いているかどうか、そして訪問介護が務まるかどうかがより明確になり、不安感も払拭されていることでしょう。
目次
訪問介護とは
利用者さんのお宅へ伺いサービスを提供する訪問介護ですが、具体的にどのようなことをするのでしょうか。
訪問介護の仕事内容
訪問介護の仕事は大きく分けて身体介助と生活支援に分けられます。
下記にそれぞれの仕事内容をまとめます。
身体介助
身体介助を行うには、介護職員初任者研修もしくはそれ以上の資格が必要です。
仕事内容としては多岐に渡り、利用者さんの身体に触れて行う介助と声かけや見守りがベースとなる介助があります。
例えば、ベッドから立ち上がる際の見守りや一緒に料理をすることなども身体介助です。
また、経管栄養や痰切りといった医療知識を要するものも身体介助に含まれています。具体的にどの様な身体介助があるのかを紹介します。
- 排泄介助
- 移乗介助
- 食事介助
- 服薬介助
- 歩行介助
- 入浴介助
- 更衣介助
- 外出介助
- 体位変換
- 清拭介助
- 見守り介助
- 痰吸引
- 経管栄養
介護資格の必要な身体介助とは違って、無資格でも行えるのが生活支援です。
生活支援
生活支援とは利用者さんの自立支援を目的とし、一人では行えない家事の代行を行うサービスです。具体的には下記の様な支援が挙げられます。
- 料理
- 買い物代行
- 薬の受け取り
- 掃除
- 洗濯
施設介護職との違い
限られた時間で決められた業務を遂行する上で施設介護も訪問介護も同じです。
しかし、訪問介護の現場では介護士がひとりで利用者さんの生活の場に足を踏み入れる点でより利用者さんと向き合う姿勢が求められます。
また、訪問介護の現場では一つのサービス提供が終わるごとにサービス実施記録票を作成します。
記録票は事業所の介護報酬請求やスタッフ・ご家族間での情報共有を円滑に行うための物であるため、非常に重要な書類です。
訪問介護員はただ利用者さんに寄り添うだけでなく、一つ一つの記録票にも一字一句の誤りが無いように責任を持たなければなりません。
サービス提供に対し効率良く俊敏に動くことが求められる施設介護に比べ、訪問介護は丁寧さが求められる職種と言えるでしょう。
訪問介護に向いている人
優先順位が立てられる人
一つのサービス提供時間は限られており、時間を大幅に超えることは次の利用者さんに迷惑を掛けることになります。
時間内に作業を終わらせなければならない一方、実際はサービス外の事象が発生することが多いものです。
例えば突然のアクシデントに見舞われたり、利用者さんの抱える悩みや課題などに寄り添ったりすることもあるでしょう。
上記の様な場合、うっかりサービス外のことに気を取られ提供時間を押してしまいそうになることもあります。
最低限やらなければならないことと後日ゆとりを持って対応した方が良い案件を正しく判断出来る冷静さは訪問介護員にとって必要でしょう。
利用者さんと向き合える人
訪問介護において最も重要なことは利用者さんの気持ちに寄り添い、向き合い続ける姿勢です。
作業効率を優先するあまり利用者さんからの信頼を欠くことがあった場合、利用者さんからの介護拒否を受けることがあります。
限られた時間内で思うようにサービスを提供することが出来ない場合、介護員に焦りが生じ予期せぬヒヤリハットに繋がる可能性もあります。
例えば、利用者さんの日用品などを破損してしまったり、空調や車椅子タイヤの確認等を怠ってしまったりすることは、起きがちな事象でしょう。
利用者さんの声にいつでも耳を傾け信頼関係を築いていく力は、訪問介護を続けて行く上でなくてはならないものです。
報連相が出来る人
基本的に一人での作業となる訪問介護の現場で、気をつけなければならないことは些細なことに対しても報告・連絡・相談を怠らないことです。
自分だけで完結してしまうと、次にケアに入るスタッフや日中不在にしているご家族を不安にさせてしまうことがあります。
例えば、日用消耗品の在庫がなくなりつつある場合や利用者さんの動線に危険がある場合など、放置しておくとトラブルや事故の元となるかもしれません。
訪問介護には、常に周囲との情報共有を徹底する必要があるのです。
問題意識を持てる人
限られた時間でいくつもの作業をこなさなければならない時、些細な問題であると見落としてしまいがちです。
しかし今は大丈夫であっても近い将来危険が生じる事象は、利用者さんの身の回りに常に存在しているものです。
例えば利用者さんが日常使っている物が傷み始めていたり表情や会話が乏しくなりがちであったりする時は、後々問題が発生する前触れの可能性もあります。
その日のサービス提供が無事に終わったことに安心するのではなく、継続的に問題意識を持ち続け支援をすることが必要なのです。
毎度同じサービス内容についても、意識的に問題意識を持てる人は訪問介護員に適していると言えるでしょう。
訪問介護の1日のスケジュール
それでは、訪問介護員の正社員と登録ヘルパーにおける1日スケジュールとはいかなる物なのでしょうか。
ここで2つの事例について紹介します。
正社員 田中(仮名)さんの場合
8:00 | 出勤。ユニフォームへの着替えを済ませ、今日訪問する利用者さんに関する情報を確認や連絡ノートのチェックなどを済ませる |
8:30~8:45 | 自転車もしくは自動車にて利用者Aさんのお宅へ移動する(移動距離5km) |
8:45~10:00 |
利用者Aさんのお宅に到着 排泄介助と掃除を行う |
10:00~10:15 | 次の利用者Bさんのお宅へ移動(移動距離5km) |
10:15~11:45 | 利用者Bさんの買い物同行と食事の準備を行う |
11:45~12:00 | 利用者Bさんのお宅から事業所へ戻る |
12:00~13:00 | お昼の休憩を取る |
13:00~13:10 | 次の利用者Cさんのお宅へ移動(移動距離3km) |
13:10~14:10 | 利用者Cさんの入浴介助を行う |
14:10~14:20 | 次の利用者Dさんのお宅へ移動(移動距離3km) |
14:20~15:20 | 利用者Dさんの清拭と洗濯を行う |
15:20~15:40 | 次の利用者Eさんのお宅へ移動(移動距離7km) |
15:40~16:10 | 利用者Eさんの排泄介助を行う |
16:10~16:30 | 事業所へ戻る |
16:30~17:00 | サービス実施記録票の最終確認、引継ぎ等の連携、連絡ノートの確認などを行う |
17:00 | 退社する |
登録ヘルパー 伊藤(仮名)さんの場合
11:00 | 自宅から利用者Fさんのお宅に直接伺う(移動距離10km) |
---|---|
11:30~13:00 | 排泄介助と買い物代行を行う |
13:00 | 利用者Fさんのお宅から直帰する |
同じ訪問介護員でも、登録ヘルパーと正社員の場合ですと働き方が大幅に違います。
正社員 田中さんの場合は必ず事業所を基点にしていますが、登録ヘルパーの伊藤さんは直接自宅から利用者さんのお宅に向いそのまま直帰しています。
どの様なスタイルで勤務するかは事業所によって異なり、中には登録ヘルパーでも事業所を基点にしなければならないところもあります。
他のスタッフとの連携やきめ細かなケアを大切にしたいのか、隙間時間で勤務し仕事以外の時間を大切にしたいのか、その時のニーズに合わせて働き方を選ぶと良いでしょう。
訪問介護のメリットとデメリットについて
訪問介護のメリットは利用者さんの目線で自立支援に携わることが出来る点です。
自分の家で最期まで暮らしたい利用者さんの手助けが出来るということは、自尊心を大切にすることにも繋がります。
一方、デメリットといえば勤務時間が不規則である点と言えるでしょう。
例えば、サービス提供の間に余分な空き時間があったり、お昼休憩を取りたい時間帯にケアが入ってしまったりすることが多々あるのです。
訪問介護を目指される方は上記のメリットとデメリットを考慮する必要があるでしょう。
訪問介護の醍醐味
訪問介護の醍醐味はなんと言っても、サービス提供を通して利用者さんと心を通わせることが出来る点です。
私自身、人生の先輩である利用者さんの人生観に触れることや様々な生活の知恵を教えていただくこともありました。
また、初めのうちはあまり心を開いてくれなかった利用者さんでも日々通い続けることで心を開いてくれた時は非常に嬉しかったです。
訪問介護を通して様々な利用者さんと出会い学んだことは、今でも様々な生活のシーンで役立つことが多いのです。
ただ介護する身とされる身になるのではなく、一人の人として利用者さんと心を通わせることが出来る経験は訪問介護でしか味わえないと言えるでしょう。
まとめ
ここまで訪問介護について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ここで、改めて記事のまとめをします。
- 訪問介護には身体介助と生活支援がある
- 訪問介護に向いている人の特徴は以下である
- 優先順位が立てられる
- 利用者さんと向き合える
- 報連相が出来る
- 問題意識を持てる
- 訪問介護の醍醐味とは、利用者さんと心を通わせることが出来るところである
この記事を読み、訪問介護の仕事内容が決して専門的な知識を要するものばかりでないことを感じていただけたのではないかと思います。
大切なことは利用者さんと真摯に向き合う姿勢です。
この記事をきっかけに、多くの方が訪問介護に対する不安な気持ちを払拭することができれば幸いです。
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訪問介護や有料老人ホームでの勤務経験があり、様々な利用者さんやそのご家族の方と接してきました。様々な課題を乗り越えてきた経験を生かし、仕事に対する悩みを抱える介護士の方の助けとなる記事を書いていきたいと思います。