【准看護師からキャリアアップ】看護師になるにはどうしたらいい?

2023.01.30掲載
看護師お役立ち情報

更新日:2023/1/30

【准看護師からキャリアアップ】看護師になるにはどうしたらいい?

看護師には准看護師と正看護師という2つの資格がありますが、どのような違いがあるかご存じでしょうか?

近年、看護師養成施設の中で大学が急激に増え、正看護師の増加と高学歴化が進んでいます。

反対に、准看護師養成所は年々閉校しており、准看護師数は正看護師の約4分の1程度と非常に少ないです。

そのため、准看護師に出会ったことがないという正看護師の方も多いかもしれません。

今回はそんな両者の違いや准看護師のキャリアアップについて、採用人事にも関わった私の経験も含めて解説していきます。

看護師と准看護師は何が違うのか

1:資格の区分

1つ目の違いは、資格の区分です。

看護師は厚生労働大臣が発行する国家資格であるのに対し、准看護師は都道府県知事が発行する資格となり、国家資格ではありません。

実際の業務内容にはほとんど差がなく、どちらも「療養上の世話と診察の補助」を業として行います。
バイタルサイン測定、点滴、注射・採血、食事介助、排泄介助、体位変換、生活指導など、同じ業務を行っているため見分けはつかないでしょう。

実際に私自身、同じ制服を着て同じように仕事をしているため、同僚が准看護師であることに半年間気づかないということがありました。

2:業務上の権限

2つ目の違いは、業務上での権限の違いです。

看護師は教育課程においてアセスメントや看護計画を学んでいます。
そのため、患者さんの全身状態を総合的に把握した上で、自身の判断により療養上の世話や診療の補助を行うことが可能です。

さらに、看護師は准看護師や看護補助者へ指示することもできます。
しかし准看護師は医師又は看護師の指示がなければ、業務を行うことができません。

准看護師が看護師へ指示を出すことも不可能です。
つまり、准看護師としてどれだけベテランになろうと、新人看護師に指示を出すことはできません。

さらに、日本看護協会では以下の項目についても看護師が行うべきであると表明しています。※1

・看護計画の立案・評価
・看護管理(看護管理者やリーダー業務等)
・訪問看護におけるオンコール対応等
・新人看護師の実地指導者
・看護師養成所の学生の実習指導

このように看護師と比較して准看護師は業務の幅が狭くなるため、経験を重ねる毎にやりたいことができないジレンマに陥る人もいます。

※1…公益社団法人 日本看護協会「2021年度改訂版 看護チームにおける看護師・准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド」より

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正看護師を目指すメリット・デメリット

准看護師制度は戦後の看護師不足を補う目的で制定されました。
しかし、より高度な専門性を求め、1990年代から厚生労働省は准看護師を廃止し正看護師への一本化を提言しています。

すでに准看護師の養成を終了した都道府県もあり、いずれ准看護師制度は廃止の一途をたどると考えて良いでしょう。

実際に准看護師養成所数は減少しており、入学者数も減少しています。※2
准看護師数の減少に伴い、准看護職員の就業者数も減少しているため、今後希望の就職先への就職が難しくなることも考えられます。

このような状況を受けて、正看護師を目指す准看護師さんも多いと思います。

看護師を目指すメリット

正看護師を目指すメリットは主に以下の3つがあげられます。

①キャリアが開ける

前述したように、准看護師は看護師に指示を出すことができません。
そのため看護師の資格を取らない限り、主任や師長など管理職への昇格が難しいという現実があります。
また、保健師や助産師、認定看護師や専門看護師といった資格も、正看護師の資格を保持していることが条件となります。

②待遇がアップする

看護師の平均年収が約491万円であるのに対し、准看護師の年収は約413万円です。※3
月収にするとおよそ6万円程度の差があり、生涯賃金として賞与を除いても約4100万円もの差が生じます。

同じような業務をしているのに、なぜこんなにも差が出てしまうのでしょうか。

そこで、准看護師の持つ業務上の権限のレベルの違いが大きく関わってきます。
これまででも述べたように、准看護師は医師や看護師の指示がなくては動くことができません。
そのため、自らの判断で業務ができる看護師と比較すると給与が低くなってしまいます。

また、大学病院や総合病院は待遇が充実している傾向にありますが、このような大きな病院は准看護師を採用しないことがほとんどです。

③主体的に看護ができる

准看護師は、看護師がアセスメントをし立案した看護計画を元に指示を受け、業務を実施します。
そのため、どんなに自分が患者さんのそばにいて「こうした方が良い」と気づいても、指示がなければケアを提供することができないのです。

自分らしく、より良い看護を提供したいという理由は准看護師さんの進学理由として上位に入ります。

看護師を目指すデメリット

それでは、看護師を目指す上でのデメリットは何でしょうか?

それはズバリ、金銭的・体力的負担が大きいことでしょう。
看護師資格を取得するには最短でも2年間、そして100万円以上の学費が必要です。

さらにその間の生活費等も考慮すると金銭的な負担はかなり大きくなります。
働きながらの通学、家庭や育児との両立となる場合は特にハードな日々になるため、時にはついていけず退学者も出るようです。

※2…公益社団法人 日本医師会「平成29年 医師会立 助産師・看護師・准看護師学校養成所調査」
※3…厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査 一般労働者職種」

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准看護師が看護師になるには

准看護師が看護師になるには

准看護師が看護師資格を取得するには、看護師学校養成所2年課程を修了し、看護師国家試験に合格する必要があります。

全日制、定時制、通信制があるため、ご自身の予算や時間、体力などの条件に合わせて選ぶと良いでしょう。

より主体的な看護をしたい、収入や待遇をよくしたいとお考えの場合は、ぜひ検討してみてください。

①全日制(2年課程)

准看護師資格取得後、最短で看護師資格を取得できるコースです。

学費は2年間で200~300万円程度と言われています。

費用は最もかかりますが、日中に集中して学校で勉強でき、学習時間を多く確保できるため国家試験の合格率が圧倒的に高いです。
受験要件として、中学卒業の場合は3年間の実務経験が必要となります。

②定時制(3年課程)

家庭をお持ちで収入を下げたくない方など、仕事を続けながら看護師免許の取得を目指したい方におすすめです。

3年間と最も時間がかかることや土日に課題をこなす必要も出てくるため、体力的にはかなりハードな選択肢となります。

そのためスケジューリングや体力に自信のない方にはおすすめできません。
こちらも受験要件として、中学卒業の場合は3年間の実務経験が必要となります。

③通信制(2年課程)

准看護師として7年以上の実務経験がある場合は通信制も選択可能です。
座学は主に通信教材による学習、病院等での見学実習のほか、登校による授業や事例検討(紙上事例演習)などを行います。

登校日は学校によって異なりますが、2年間で50日以上と規定されています。

看護師学校養成所の試験内容は学校により異なりますが、小論文や一般常識、人体の仕組みや看護学について問われることが多いようです。

また、進学のための費用を確保するのは非常に負担が大きいですよね。
その場合は教育訓練給付金や日本看護協会が提供している貸与型奨学金、自治体や病院が独自に用意している奨学金などを利用することも可能です。

自分がどのような制度を利用できるのか、日本看護協会や自治体、勤務先の制度を確認してみましょう。

まとめ

まとめ

「本当は看護師になりたかったが、様々な事情があり准看護師になった」
「社会人から看護師になる足掛かりとして、まずは准看護師を取得した」

これは採用面接に携わる中で、私が実際に伺ったことです。
准看護師の方は元々看護師という仕事への関心が強く、人一倍誇りを持っている方が多い印象を受けました。

ぜひその想いと経験をこれからのキャリアに生かしてください。

進学はお金も時間も体力も必要な選択ですので、焦りやなんとなくではなく、しっかり考えて決断しましょう。

また、看護師を目指したいけれど足踏みをしている方は、若ければ若いほど体力もあり飲み込みも良いため、早めに行動することをおすすめします。

准看護師を続けるのか、看護師を目指すのか、メリット・デメリットを比較しじっくり検討してみてください。

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この記事を書いた人:まな [MANA]  / 看護師
著者:まな 新卒で大学病院HCU勤務後、美容クリニックへ転職。
ストレスによる体調不良で休職・退職した経験から、自分の心を大切にして働く事を目標に日々試行錯誤しています。
より良い環境を求め続けた結果、看護師5年目にしてすでに4回の転職を経験。看護師資格をうまく利用して自分らしく楽しく生きる人が増える事を願っています。