声がけ苦手の看護師が患者さんに喜ばれるようになった3つのスキル

2023.01.30掲載
看護師お役立ち情報

更新日:2023/1/30

患者さんへの声がけは、看護の仕事をするうえで欠かせませんよね。声がけからコミュニケーションが取れます。
患者さんは一人一人性格も抱えている病気も違うため、その方に合わせた声がけが必要です。
しかし、患者さんそれぞれに合わせた声がけはとても難しいものです。
看護学校で学んだはずのコミュニケーションスキルも簡単には実践できません。
実践してみても上手くいかないことの方が多いと感じる人もいるでしょう。

「患者さんと会話が続かない」「患者さんになんて声をかけたら良いか分からない」等と悩んでいませんか?

実はあなただけではなく、ベテランの先輩看護師だって患者さんとの関わりについて悩んでいます。患者さんへの声がけはそれだけ難しいのです。
看護師歴10年以上の私も、未だに患者さんへの声がけに悩みます。
あとから、「あの声がけで正しかったのかな?」「もっと良い声がけの仕方があったのではないか?」などと自問自答することがあります。
患者さんへの声がけにはいろいろな目的があります。また方法もたくさんあります。

今回の記事では患者さんへの声がけの目的や、基本的なコミュニケーションスキルについて筆者の成功体験と失敗体験も交えつつお伝えします。
ぜひ最後まで読んでいただき、できそうなものから実践してみてくださいね。

看護師が患者さんに声がけをする3つの重要な目的

声がけは患者さんとコミュニケーションをとるための第一歩であり、看護の基本です。
コミュニケーションスキルは、看護学校に入学して間もない段階で講義を受けた方も多いでしょう。
では患者さんに声がけをする目的を考えたことはありますか?声がけの目的を振り返ってみましょう。

患者さんの情報を得るため

患者さんの情報はカルテからも得られますが、実際に関わることで分かることも多いです。
入院前の生活状況や病気についての認識、退院後の生活についてなど様々な情報がコミュニケーションから得られる場合もあります。
また特にその時々の体調は、患者さんに声をかけなければわかりませんよね。

患者さんとの信頼関係を築くため

患者さんとコミュニケーションをとりながら情報を得ることは、もちろん自分との間に信頼関係がないと不可能です。
患者さんから信頼してもらえる関係づくりのために、声がけはとても重要な関わりになります。
患者さんとの信頼関係を形成できると、より多くの情報を得られるようになるでしょう。

患者さんに安心感を持ってもらうため

患者さんは病気をきっかけに、不安を抱えながら生活をしている人が多いです。
不安な毎日を過ごす中で、看護師から声をかけられて元気が湧いたり安心感を得たりする患者さんもたくさんいます。
自分の声がけで患者さんと信頼関係を築けたり、患者さんに安心感を持ってもらえたりするとこちらまで嬉しくなりますよね。
しかし声がけの目的や大切さは分かっているけれど、上手にできずに悩んでいる人も多いでしょう。
私も患者さんへの声がけに悩みながら、失敗したり成功したりしてきました。

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私の声がけの失敗談と成功談

看護師歴10年以上の私ですが、未だに患者さんへの声がけは難しいと感じています。そんな私が今でも心に残っている失敗談と成功談を一つずつご紹介します。

患者さん「もうここにいなくていいから

私が新卒で就職した病院の輸血実施マニュアルでは、開始から15分間は看護師がベッドサイドで患者の状態観察することが必須でした。
輸血開始後5分と15分に熱や血圧などを測定し、副反応がないかを確認します。

患者さんとのコミュニケーションが苦手だった私が患者さんに声をかけたのは、「お熱や血圧は変わりないですね。ご気分も変わりありませんか?」のみでした。
患者さんは「はい。」もしくは「変わりありません。」と返答するだけです。
体調に変化があれば別ですが、変わりがなければ看護師からの質問に「はい。」と答えるしかありませんよね。

たった15分ですが、コミュニケーションの苦手な私にはとても長く感じる時間でした。
私は何か話題を考えて話しかけなければいけないと焦り悩んだものの、適切な声がけができませんでした。
そして患者さんに「もうここにいなくていいから。」と言わせてしまったのです。

最初はその患者さんの言葉の意図が分からず頭が真っ白になりました。
その直後に「私は患者さんに不快を感じさせてしまったのだ。」ということに気がつき、悲しく、情けない気持ちになったのです。
これ以降、患者さんとのコミュニケーションが発生する輸血業務にも苦手意識を持ってしまいました。

「いつもと何か違う」と感じ声をかけたことで感謝された

外来勤務をしていた時の話です。新患さんの情報収集のために待合室に行ったところ、毎月定期受診をしている患者さんが来院していました。
いつもより元気がなさそうで顔色も少し悪く見えたため、声をかけると「どこが辛いというわけじゃないんだけど、だるくてだるくて・・・。」とおっしゃいました。
熱や血圧を測定しましたが普段と変わりありません。

それでも何となく気になりカルテを見てみると、数日前に他の診療科で行った採血で電解質バランスが大きく崩れていることが分かりました。
すぐに医師に報告すると緊急検査や点滴などの指示が出て、検査の結果入院することになりました。

その後患者さんは無事に退院でき、外来にご家族と一緒にあいさつに来てくれました。
「あの時、声をかけてくれたからこうして治療してもらえた。本当にありがとう。これからもよろしく。」という嬉しいお言葉をいただきました。

このような経験はなかなかないかもしれませんが、声がけ一つで患者さんの治療につながったり信頼関係を築いたりできるのだと実感しました。

未だに失敗はありますが、少しでも適切な声がけをできるように日々患者さんと向き合っています。

声がけにつながるコミュニケーションスキル

「傾聴」や「リフレイン」は聞いたことがある人も多いでしょう。
声がけにつながる基本的なコミュニケーションスキルです。簡単にできるのでぜひ実践してみてくださいね。

傾聴 – 誰でもできる基本的な聞き方

傾聴とは、単に言葉を理解するという意味での「聞く」ではなく、患者さんに「心を傾けて聴く」姿勢が大切です。
患者さんの言葉をまずは「肯定的に」捉えて聴くことがポイントです。

肯定的に話を聞くとは、相手の話を良い悪いで評価したり、好き嫌いの意識を入れずに聴くことです。
例えば「そうなんですね。」とシンプルに返したり、「××さんは○○と思っていらっしゃるのですね。」と少し要約して返答したりといった方法があります。

肯定的にとらえると患者さんは自分を受け入れてくれる人かもしれないと感じ、さらにコミュニケーションを深められます。
肯定的に捉えながらも、なぜ患者さんはそのような言葉を発したのか考えると、次にどのように声がけをしたら良いか考えることができます。

聴くときは患者さんの目を見たり、目線の高さを合わせたり、「うん、うん」とあいずちをすると患者さんも聴いてもらえていると感じてくれるでしょう。

リフレイン – オウム返し

リフレインとは、患者さんの言った言葉を繰り返して伝える方法です。
しかし機械的に言葉を返すのではなく、患者さんがどんな思いでその言葉を発したのか考えながら返してみましょう。

患者さんからの発信をキャッチすることで次の声がけにつながります。
例えば、患者さんに「辛いんだよね。」と言われたら「お辛いのですね。」と返します。
すると患者さんのほうから「うん、夜眠れなくて・・・。」と話が展開したり、看護師のほうから「何がお辛いのですか?」と深く堀り下げて話を聴くことができます。

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沈黙をおそれない気持ちも大事

患者さんとの会話の中で、沈黙の時間ができると急に不安を感じることはありませんか?
私も沈黙は苦手な方です。何か話さなければと焦る気持ちも分かります。

しかし、沈黙の中に患者さんの気持ちが隠されていることがあります。
沈黙が訪れても慌てずに患者さんの次の言葉を待ったり、沈黙さえ心地よいと思ったりできるような心の準備をしておくとよいでしょう。

実際に私は、「沈黙を恐れないように意識した」ことで、焦らず次に自分が発する言葉を考えられるようになりました。
最初は緊張しますが、少しずつ意識してみてくださいね。

患者さんとの信頼関係を築けても敬語を使うことを忘れずに

患者さんとの会話に慣れてくると、ついつい軽い口調で話すようになってしまいます。
実際に敬語を使わずに患者さんと話している先輩方もいるかもしれません。

しかし患者さんに敬語を使うことは、看護師として社会人として最低限のマナーです

私が患者として病院にかかり問診を受ける時に、初めて会った私より若い看護師から「うん、いつから?そうだよねぇ、痛かったねー」と軽い口調で返されました。
とても不快な気分になりましたし、自分は絶対に気を付けようと感じた体験でした。

軽い口調はフレンドリーな感覚になり、自分と患者さんの距離が縮んだかのような気持ちになります。
ただ知らず知らずのうちに患者さんを不快にさせてしまっているかもしれません。
患者さんを目上の人として敬う姿勢は絶対に忘れないでおきましょう。?

まとめ

今回は患者さんへの声がけについての目的や、効果的な声がけにつながるための基本的なコミュニケーションスキルについてお伝えしました。
声がけによって患者さんと深いコミュニケーションが取れたり、患者さんに喜んでもらえると、やっぱり嬉しいですよね。
とはいえ、声がけの方法は患者さんによって異なります。傾聴やリフレインなど簡単にできるスキルも意識しながら、患者さんに最も合った声がけを探してくださいね。

 

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この記事を書いた人:三井 美波 [Mitsui Minami]  / 看護師
著者:三井 美波 2006年から看護師として働き始めました。
総合病院で内科系・外科系の病棟やユニット、外来での勤務が主でした。1年間大学教員の経験もあります。2021年~訪問看護ステーションに転職しました。
患者さんとの関わりを通して、看護師としての経験値が上がると考えています。患者さんとの関わり方で悩んでいる方がいたら、私の経験談を通してみんな自分と同じことで悩んでいるんだなと前向きに考えてもらえたら良いなと思っています。