【ケアマネを目指す介護福祉士】特徴や条件を確認してステップアップ

2023.01.25掲載
介護お役立ち情報

更新日:2023/1/25

「ケアマネジャー(介護支援専門員)を目指して資格を取りたい」「試験を受けるのに条件ってなんだっけ?」「介護福祉士からレベルアップしたいけどどういう仕事があるのか分からない」とお考えの方へ。今回はケアマネジャーとは何か、介護福祉士との仕事内容や収入面での違い、資格取得試験から取得したあとまで、詳しく説明していきます。介護の道のステップアップにもつながるケアマネのお仕事。ぜひチェックしてみて下さいね。

 

 監修:小林 結喜子 [Kobayashi Yukiko]  / キャリアアドバイザー


年間数百人の転職相談を受けるキャリアカウンセラー&キャリアアドバイザー。看護・介護業界の転職相談を得意とする。職業紹介責任者講習修了。前職は大手ドラッグストアの人事教育担当者。長年にわたり医療事務の採用面接や新人教育、マナー研修に携わっている。

 

 

どんな資格?

介護支援専門員(ケアマネジャー)とは、介護サービスを利用する方の為の介護計画(ケアプランの設計や給付管理、市町村・施設・サービス事業所との連絡調整を行う方のことを指します。

介護保険法の中では、「要介護者または要支援者(以下「要介護者等」という。)からの相談に応じ、要介護者等がその心身の状況等に応じ適切なサービスを利用できるよう、市区町村、サービス事業者等との連絡調整等を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識および技術を有するものとして介護支援専門員証の交付を受けたもの」と定義されています。

介護支援専門員の資格は国が認定する国家資格ではありませんが、介護保険法に登録方法などは定められていて、都道府県知事の登録を受ける公的な資格です。

 

ケアマネ?ケアマネジャー?ケアマネージャ?どの呼び方が正解なの?

正式名称は「介護支援専門員」と定められていますが、実際の現場では「ケアマネ」と呼ばれていたり、本やwebサイトでは「ケアマネージャー」や「ケアマネジャー」と表記されていますね。では一体どの呼び方が正解なのでしょうか。

厚生労働省、一般社団法人の日本介護支援専門員協会の文章の中では介護支援専門員(ケアマネジャー)と表記されています。一方で、月間検索数の12ヶ月の平均値を調べてみると、「ケアマネジャー」で検索された数は5,866件、「ケアマネージャー」で検索された数は44,133件であることが分かりました。一般的には「ケアマネージャー」の方が広く認識されているということが分かります。介護の現場や実際に働く方々は「ケアマネ」と短く省略された呼び方の方が使いやすいかもしれませんね。どの呼び方でも正解ですが、公的な文書などで使う場合は厚生労働省の文書に従い「ケアマネジャー」という表記する方が間違いがないのではないでしょうか。

 

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収入

ケアマネジャーと介護福祉士の給料は実際のところいくらぐらいなのでしょうか。ここ近年の平均給与額について比較してみましょう。

2020年2月

2019年2月

ケアマネジャー

362,510円

351,440円

介護福祉士
(平均勤続年数9年)

338,340円

319,950円
24,170円 31,490円

引用:厚生労働省 令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/20/dl/r02gaiyou.pdf
介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅱ)を取得(届出)している事業所における平均給与額

厚生労働省の資料を基にした比較表を見てみましょう。勤続年数や都道府県にもよりますが、全体的に介護福祉士よりケアマネジャーの方が多く収入を得られるということが分かります。毎月2~3万円の差がありますので年収にも差が出てきますね。

 

仕事内容

介護福祉士としての働き方、ケアマネジャーとしての働き方を比較していきます。


介護福祉士
身体や精神に障がいがあり、日常生活を送るのに支障をきたす方に対して入浴介助・排せつ介助・食事介助などの介護を行います。一人一人の心身の状況に合わせて適格な介護を行う為に、介護に関するさまざまな知識や技術、臨機応変に対応する能力などが求められます。介護現場の最前線で活躍できる方の資格ですね。

ケアマネジャー
一方ケアマネジャーは直接介護ではなく、ケアプランの作成・給付管理などを行うのがメインのお仕事です。また、サービスを行う事業所と、介護を必要とする高齢者の間に入り、つなぎ合わせて調整することもケアマネジャーの役割になります。多くの事業所の中から、利用者に合うサービスの情報を提供する必要がありますので、介護に関する様々な知識が必要になります。

 

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活躍できる施設

ここでは介護福祉士・ケアマネが実際に勤務する施設や事業所など、活躍できる場の例をあげていきます。

介護福祉士
介護福祉士の活躍できる介護施設は数多く存在します。それぞれの施設形態に特徴があり、それに応じて介護福祉士の働き方や給料、勤務時間なども異なります。

特別養護老人ホーム、ケアハウス、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、介護老人保健施設、訪問型居宅サービス事業所、通所型居宅サービス事業所(デイサービス、デイケアなど)、ショートステイ、小規模多機能型居宅介護事業所、グループホーム、障害者福祉サービス事業所、障害者支援施設(入所・通所)、障害児通所支援事業所、障害児入所施設、病院などの医療機関

 

ケアマネジャー
ケアマネジャーは「居宅ケアマネ」「施設ケアマネ」の2つに分けられ、それぞれ活躍の場は異なります。

*居宅ケアマネ
主に居宅介護支援事業所が居宅ケアマネの職場です。自宅で介護サービスを受けている利用者を対象に支援をします。ケアプラン作成や給付管理などのデスクワークの他に、利用者の自宅・役所・地域包括支援センターなどの訪問など外出することも多くあります。


*施設ケアマネ
特別養護老人ホームなど特定の介護施設で勤務し、その施設内の利用者を対象にしたケアプラン作成などを行います。施設の介護スタッフとの連携が必須になり、施設によっては介護業務を兼務することもあります。

 

 

資格を取る条件

ケアマネジャーになるには、まずは「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格しなければなりませんが、誰でも簡単に試験を受けられるわけではありません。次の条件を満たした人が初めて試験に挑戦できるのです。自分が受験資格を満たしているのかしっかり確認しましょう。

受験資格 : ①②いずれかを満たすこと

①以下いずれかの国家資格を保有し、通算5年以上かつ従事した日数が900日以上であること

医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士含む)、精神保健福祉士


②生活相談員・支援相談員・相談支援員・主任相談支援の業務を通算5年以上かつ、従事した日数が900日以上であること

*
実は、2017年までは、介護職員初任者研修修了者(ホームヘルパー2級)や無資格者でも介護業務の経験年数によっては受験資格を得られました。しかし、2018年からは実施要項が改正され受験ラインが厳しくなり、介護福祉士以外の介護職要件が除外されましたので注意が必要です。また、各都道府県において受験資格が若干異なる場合があるため、詳細は受験地の担当にしっかりと事前に確認しましょう。

 

介護支援専門員実務研修受講試験とは?

「介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)」とは、毎年1回、各都道府県により実施される筆記試験です。

区分

出題数

介護支援分野

 介護保険制度の基礎知識
 要介護認定等の基礎知識
 居宅・施設サービス計画の基礎知識等

25問

保険医療福祉
サービス分野

 保険医療サービスの知識
 福祉サービスの知識

35問
60問

上記の内容の問題で、試験時間は120分で行われます。

また、申込先やスケジュール、受験料については都道府県により異なりますので、注意が必要です。

例年5~7月頃が、各都道府県へ試験申込の期間になります。それまでに、上記に述べた受験資格を全てクリアしておく必要があります。願書を受け取り申込期間内に提出をすると、受験票が自宅に届き、10月中旬に試験日を迎えるというスケジュールです。

受験費用に関しては、都道府県によりばらつきがありますが、だいたい8,000円~13,000円程度のところが多いようです。ケアマネ試験を受験する前に、各都道府県の管轄に必ず確認をしてから試験に臨むようにしましょう。

 

介護支援専門員実務研修受講試験の合格率

参考:第32回介護福祉士国家試験合格発表 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10334.html

ケアマネ試験と介護福祉士国家試験の過去3年間の合格率を比較してみました。介護福祉士の合格率は70%台であるのに対し、ケアマネジャーの合格率は10~20%でした。

いかにケアマネジャーの合格難易度が高く、狭き門であるということがわかりますね。試験に向けて、問題集や講座などを利用して学習に取り組み、合格を目指しましょう。

 

試験に合格したら

無事に介護支援専門員実務研修受講試験に合格すれば、すぐケアマネジャーの仕事に就けるわけではありません。例年11~12月頃に合格発表があり無事に合格が決まったあと、必ずやらなければならないことが2つあります。

・介護支援専門員実務研修

実施スケジュールや回数、受講料などは都道府県により異なりますが、試験合格後に必ず終了しなければいけない研修です。研修時間は概ね10日程度、87時間受講します。実務研修終了後は、「介護支援専門員資格登録簿」へ登録申請を行いましょう。

・介護支援専門員証の交付申請

こちらもケアマネとして働く為に必ず申請が必要になります。申請には手数料や写真が必要になりますので事前に確認し、準備しましょう。

この2つが終われば、晴れて「ケアマネジャー」として資格取得が完了になり、業務に就くことができるのです。

 

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この記事の筆者:秋本 糸織 [Akimoto Shiori]


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