キャリアアップしたい介護士さん必見!各受験資格や働き方などを解説!
更新日:2023/1/30
「介護の世界に入ったけれど、今後のキャリアアップについて漠然とした不安がある」
「資格をグレードアップしたいけど、受験資格に色々な条件があって混乱しがち」
上記のようなお悩みを抱えている介護士さんは多いのではないでしょうか。
実際私自身も畑違いの職種から介護の世界に足を踏み入れたときには、介護における資格の違いや受験資格について理解することができずにいました。
自分にとって最善のキャリアアップを思い描くことができず、もしかしてずっとこのままなのかなという漠然とした不安を感じることもありました。
しかし、介護資格における正しい認識を身につけ、思い切って上位資格に挑戦することで介護士としてのキャリアパスに自信を持つことができたのです。
本記事では、介護における資格の違いや受験資格などについて解説していきます。
本章を読むことで、介護業界におけるキャリアアップ方法がわからず困惑しがちな介護士さんは介護資格について理解し、明確な目標を見つけていくことができるでしょう。
目次
まずはキャリアアップの道すじを立てることが大事
介護における資格は多数あり、入職したばかりの介護士さんにとっては紛らわしく感じてしまうこともあるかと思います。
似たような内容の資格があり混沌とする状況で何を受験すればよいのかわからなくなってしまったときには、介護福祉士の取得をひとつの基準に考えるとよいでしょう。
なぜなら介護福祉士とは一般的な介護士よりも高い専門性が求められ、現場のリーダー職や他業種との連携を担う現場の中核的なポジションであるからです。
実際、私の働く現場においてもリーダーポジションの職員はみなさん介護福祉士をお持ちでした。
彼らは豊富な介護知識のもと、職員に指示を出したり利用者さんと向き合ったりすることができる非常に頼もしい存在であります。
国家資格である介護福祉士を目指す上でどのような研修や実務が必要になるのかを考えると、キャリアアップへの道すじは自ずと明確になるでしょう。
受験資格や働き方の違いとは?
キャリアアップの道すじを理解できたとしても、数ある介護資格の違いがわからず混同してしまう方は多いのではないでしょうか。
ここで、介護福祉士取得に必要とされる実務者研修や更なる上位資格であるケアマネージャーにおける受験資格や働き方などについてお話しします。
介護資格の取得順序一覧表
現在、介護業界にはこのような資格があります。
各資格について、それぞれ解説します。
介護職員初任者研修
受験資格
かつてのホームヘルパー2級に代替する初任者研修には明確な受験資格が定められていません。
国籍や性別問わず、中学卒業後であれば誰でも研修を受講することができます。
仕事内容
初任者研修修了者と無資格者における仕事内容の大きな違いは、訪問介護サービスを行えるかどうかという点です。
訪問介護では利用者さんのお宅に伺い、家事支援などの生活援助サービスや排泄介助などの身体介護サービスを提供します。
通所や施設における介護とは違い介護員ひとりにサービス提供が託されるので、責任重大である反面非常に学びの多い職種といえるでしょう。
また、施設によっては無資格者と初任者研修修了者の仕事内容に明確な線引きを行うところもあります。
無資格者は掃除や洗濯メインの仕事となる場合が多い一方、研修修了者は自立度の高い利用者さんの生活支援から重度の身体介護まで幅広く担当することができるのです。
給料
介護職の入門資格とされる初任者研修ではありますが、資格保有者と無資格者との間には大きな収入の差があります。
例えば、厚生労働省による令和2年度の介護従事者処遇状況等調査結果では、初任者研修修了者の平均月収は301,210円とされています。
上記から算出すると初任者研修修了者の平均年収は3,614,520円であることがわかります。
一方、無資格者である場合の平均月収は275,920円とされているため、平均年収は3,311,040円となります。
上記の結果を見ると、初任者研修を修了することにより年収が30万円程度アップしていることがわかります。
キャリアアップをお考えの場合、資格取得は必須であることがわかりますね。
介護福祉士実務者研修
受験資格
かつてのホームヘルパー1級に替わる介護福祉士実務者研修は初任者研修と同様、無資格者や未経験者でも受講することができます。
ただ、研修内容としては基本的な介護知識を学ぶ初任者研修よりも専門性が高いものとなるため、キャリアアップを目指したい介護士さんに適した研修といえるでしょう。
仕事内容
初任者研修修了者との大きな違いは、サービス提供責任者になれるかどうかという点です。
サービス提供責任者とは訪問介護の現場において各職種の橋渡しを担う中心的な存在となります。
例えば、ケアマネージャーや事業所管理者、ヘルパーや利用者さん間での連絡調整や訪問介護計画書などの書類作成、利用者さんとの面談など仕事内容は多岐に渡ります。
またヘルパーの指導や介護の実務を行うこともあるので、訪問介護においてオールマイティーに活躍できるポジションといえるでしょう。
給料
一般的に、実務者研修修了者の収入は初任者研修修了者と大差がないものとされています。
上記は、サービス提供責任者となる場合を除き研修を修了することによって仕事内容に大きな変化が起こらないためと考えられます。
実際、厚生労働省による令和2年度の介護従事者処遇状況等調査結果では、実務者研修を修了した方の平均月収は303,230円でした。
一方、実務者研修を終えると目指すことのできるサービス提供責任者の平均月収は320,510円とされています。
実務者研修を修了するだけでなく、サービス提供責任者になると大幅に収入がアップすることがわかります。
介護福祉士
受験資格
介護福祉士における受験資格は大きく分けて下記の3パターンが挙げられます。
実務経験を積んで受験する場合
他業界からの転職者や中卒者である場合、介護福祉士を目指すには現場で3年の実務経験を積むことと下記のいずれか1点が受験の必要要件となります。
・介護福祉士実務者研修の修了
・介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修の修了
なお、上記を満たし筆記試験に合格すると実技試験は免除となり資格を取得することができます。
養成施設を卒業して受験する場合
高校卒業後に介護福祉士養成施設を経て介護福祉士となるには下記のルートがあります。
・2年制以上の介護福祉士養成施設を卒業する。
・福祉系大学や社会福祉士養成施設、保育士養成施設などを卒業後、1年制以上の介護福祉士養成施設を卒業する。
上記を満たすと、国家試験を受験せずして介護福祉士の資格を取得することができるのです。
ただし、注意すべきことは介護福祉士の資格を自動取得できたとしても、それは5年間の期限付き登録であり、あくまで暫定的取得であるという点です。
養成施設を卒業後して5年後には登録が消失するため、再び介護福祉士になるには国家試験の受験もしくは5年以上の継続的実務経験が必要となるのです。
資格消失によるブランクを作りたくない場合、養成施設卒業後5年以内に国家試験を受験しておくことが必要でしょう。
実技試験については、前述の実務経験ルートと同様免除となります。
なお、令和9年度以降は上記の5年間猶予も無くなるため、養成施設卒業者も実務経験を積む場合などと同様に国家試験に合格しなければ介護福祉士になることはできません。
福祉系高校を卒業して受験する場合
福祉系高校を卒業して介護福祉士を受験する場合、入学時期によって必要要件が異なります。
平成21年度以降の入学者の場合、卒業後筆記試験のみに合格すると介護福祉士を取得することができます。
一方、平成20年度以前入学者の場合は筆記試験とともに実技試験を受ける必要があるのです。
実技試験を免除したい場合には介護技術講習、介護過程、介護過程IIIのいずれかを選択・履修しなければなりません。
なお、特例高等学校の場合においても、卒業後に9ヶ月の実務経験を経た後、平成20年度以前の入学者と同様のルートで実技試験の有無を選択することとなります。
仕事内容
介護福祉士の仕事内容としては生活援助や身体介護などの業務に加え、現場職員に指示だしなどを行うリーダーや責任者を任されることも多くなります。
実務経験や専門知識に富んだ介護福祉士は、スムーズな介護を行う上でなくてはならない存在なのです。
給料
介護福祉士の給与は、初任者研修や実務者研修の修了者に比べるとぐんと上がります。
給与アップの理由としては、資格手当によるものと特定処遇改善加算によるものが考えられます。
前者において、初任者研修や実務者研修における手当が数千円であるのに対し、介護福祉士では1万円から15,000円の額が手当として給付されるのです。
また、後者の特定処遇改善加算においては勤続10年以上かつ経験豊富な介護福祉士を職場で最低ひとり以上選定し、彼らに8万円以上の基本給アップ、もしくは年収を440万円以上とすることが定められています。
実際、厚生労働省による令和2年度の介護従事者処遇状況等調査結果では介護福祉士の平均給与が329,250円とされています。
上記は初任者研修修了者の月収を3万円弱上回るものとなります。
仕事内容と同様、収入面においてもキャリアアップを目指すには介護福祉士の取得が要となることがわかりますね。
ケアマネージャー
受験資格
ケアマネージャーの受験資格は、下記2点のいずれかを満たしていることが挙げられます。
定められた国家資格を保有し、実務に従事していること
下記いずれかの国家資格を保有していることが条件となります。
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、
准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、
介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、
言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、
きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士含む)、
精神保健福祉士
上記の資格に基づく実務に5年以上従事していること、従事日数が900日以上であることを条件に受験資格を得ることができるのです。
介護施設などで相談援助業務などに従事している人
前述の国家資格を保有していない場合でも、下記における相談援助業務があれば受験資格を得ることができます。
生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員
ただし、受験に必要な経験年数や日数は国家資格保有者と同様、5年以上の実務経験と900日以上の従事日数となります。
仕事内容
ケアマネージャーの役割は、利用者さんのご家族と介護事業所の間に入りマネジメントを行う架橋的なものです。
介護を要する方のご家族から相談を受け、ご家族やご本人がどのような問題を抱えているのかを突き止めることにより必要な支援をプランニングしていくのです。
この際、ケアマネージャーは利用者さんが適切な介護保険サービスを利用できるように、目的に応じたサービスを記載した介護サービス計画書(ケアプラン)を作成します。
このケアプランをもとに、無事に目標が達成されるよう事業所と連携したり、利用者さんのお宅に定期訪問をすることで現状把握を行ったりします。
ケアマネージャーは現場での実務には携わらないものの、利用者さんやご家族の支えとなる重要な役割を持っているのです。
給料
ケアマネージャーになると実務を担当する介護士よりも収入はアップします。
実際、令和2年度の介護従事者処遇状況等調査によるとケアマネージャーの平均給与は介護福祉士よりも3万円弱高い357,850円でした。
また、平成31年度における同調査ではケアマネージャー平均給与は347,460円とされており、1万円程度アップしていることがわかります。
今後も、介護職における中核的存在を担うケアマネージャーの収入は上がる可能性が十分にあると考えられます。
【介護福祉士】私の受験エピソード
各資格に対する説明をさせていただきましたが、ここで介護福祉士である私の受験エピソードを紹介します。
私が介護福祉士を取得したのは働き始めてちょうど3年が経過したころでした。
当時は法改正前で、3年の実務経験を経て受験するには実技試験の受験が必要だったのです。
子供が幼く保育園に預けて仕事に出ていた私にとって、勉強時間を作ることは至難の業でした。
朝から夕方まで有料老人ホームにて勤務し、帰宅後は2歳児の育児と家事に追われる日々です。
やっと一息つき筆記試験の勉強に取り掛かることができるのは、子供を寝かしつけてから自分が床に就くまでの2時間程度となります。
この時間だけが唯一ひとりになれるものでしたので、本当に集中して勉強に取り組みました。
受験において焦りは禁物です。
試験日までに不明点などを脳に定着させるためにも、2度3度問題集を繰り返し解けるだけのスケジュール感が必要となります。
1日に使える時間が限られていた私は、余裕を持って10ヶ月ほど前から学習に取り組んでいました。
結果、苦手な分野を全て克服した状態で試験に挑むことができ、筆記試験では9割近い点数を採ることができました。
筆記試験を無事に終え実技試験を控えたころに第二子を授かり、つわりが始まる中で実技試験を受験することとなりました。
体調により辛い思いをしましたが、こればかりはやるしかないと心に決め気合いで乗り切ったことを覚えています。
無事に合格した今だから言えることは、あの時頑張って本当によかったということです。
資格を取得したことによる仕事内容や給与面でのメリットは大きいのですが、何より周囲からの反応の変化に嬉しさを感じることが多かったように感じます。
資格を取る前は、どちらかというと否定的なイメージで捉えられがちだった介護士という仕事が、国家資格を取得することにより敬意を表されるようになったのです。
自分の仕事が家族や友人に認められることは非常に嬉しいものです。
まとめ
ここまでいくつかある介護の資格に関する受験資格や働き方の違いなどをお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか。
キャリアパスを描くことができず思い悩んでいた介護士さんが、紛らわしく感じがちな資格情報を明確に理解するためのお手伝いができると嬉しいです。
資格取得に必要な経験年数や仕事内容などが掴めると、今後介護士としてどう働いていくのかがイメージしやすくなると思います。
介護業界は今後もニーズが高まる分野なので、上位資格を取得したり長く働いたりすることによって着実な収入アップが期待できることでしょう。
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