介護士のあなた、ずっと同じ働き方でいいんですか?働き方改革の視点から見た転職
更新日:2023/6/10
「私、このまま働いていて大丈夫かな…」
そんな疑問を感じたことはありませんか?
日々の仕事に追われ、自分自身の働き方を見直す時間がない…。
そんなあなたへ、この記事は働き方改革の視点から転職を考えるきっかけを提供します。
今の働き方に満足していないなら、まずは自分自身の働き方を見つめ直してみてください。
そして、新たな働き方を模索する一歩を踏み出してみませんか?
目次
現代の介護士が直面する働き方の問題
介護士の仕事は、誰もが称賛する奉仕の職業です。
しかし、その裏側には「過重労働」や「低賃金」など、数々の問題が隠れています。
特に注目すべきなのは、精神的な問題です。
厚生労働省の「過労死等防止対策白書」によると、令和3年度の精神障害の労災請求件数が最も多かったのは、社会保険・社会福祉・介護事業の分野で、なんと336件に上りました。
この数値は、働く上での精神的ストレスの大きさを如実に表しています。
さらに、介護労働安定センターが令和3年度に行った調査によると、介護職の離職率は低下傾向にある一方で、賃金の問題は依然として解決していません。
介護職員の平均賃金は約24万5000円で、平成29年から僅かに増加傾向にはあるものの、増加幅は小さく、改善のペースはゆっくりとしています。
一方、全国平均の賃金額は約30万7400円。(厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査)
介護職員の賃金と比較すると、約6万円のギャップがあります。
この結果からも、介護士という職業の待遇改善が急務であることが明らかです。
このような現状を踏まえて、一度立ち止まり、自分自身の働き方を見つめ直してみてはいかがでしょうか?
あなた自身の働き方、それは果たして健全でしょうか?これからの働き方を模索するための一歩として、働き方改革の視点から考えてみましょう。
働き方改革が介護士にもたらす影響
働き方改革とは、労働制度の根本からの見直しを目指すもので、長時間労働の改善や非正規雇用労働者の処遇改善などが主な柱となっています。
ここでは、その要点を、介護士にとってどう影響するのか、具体的に見ていきましょう。
長時間労働の改善
介護業界での長時間労働の問題は深刻です。
その一端を示すデータとして、医労連が行った介護施設夜勤実態調査があります。
この調査によると、2022年時点で、87.4%の施設が2交代制の夜勤業務を取り入れていました。
2交代制とは、大まかに言うと、24時間を二つの長い時間帯に分けて交代で勤務する制度のことを指します。
これは一見効率的に見えますが、働く側にとっては連続した長時間労働となり、疲労が蓄積しやすい状況を生んでしまいます。
そこで、働き方改革の一環として、時間外労働の削減や休息時間の確保など、適正な労働時間の管理が重要視されています。
介護士が自身の健康を守りつつ、質の高いサービスを提供できるための取り組みと言えます。
健康的な働き方は、介護士一人ひとりの生活質を高めるだけでなく、長期的には介護の質そのものを向上させることにも繋がるのです。
非正規雇用労働者の処遇改善
介護業界における非正規雇用労働者の存在は決して少なくありません。
全国労働組合総連合の介護労働実態調査によると、約40%の介護施設職員が非正規職員で構成されているのです。
これは、安定した働き方、そして賃金面での不安を抱えている可能性があるということを意味します。
そこで、働き方改革では、非正規雇用の介護士に対する待遇改善が重要なテーマとなっています。
正規雇用と同等の待遇や、しっかりとしたキャリアパスの確立を通じて、安定した労働環境の提供が求められています。
こうした取り組みにより、介護業界への参入障壁が下がり、多くの人材が新たにこの業界に足を踏み入れることが期待されています。
これは結果として、介護業界全体の人手不足問題の解消に繋がっていくことでしょう。
労働環境の改善
介護業界では、職務環境による精神的な疲労が問題となっています。
働き方改革では、職場環境の見直しや、メンタルヘルスのケアに重きを置くことが求められています。
これにより、介護士が健康的に働き続けることが可能となります。
これらの改革は、まだ進行中のものも多く、全てが現実になったわけではありません。
しかし、この流れを理解し、自分自身で働き方を選択することで、より良い職場環境を手に入れることが可能です。
これからの働き方を考える一歩として、働き方改革の取り組みをチェックしてみましょう。
転職を考える前に、自分の働き方を見直す
では、転職を考える前に自分の働き方を見直す、その第一歩は何でしょうか。
自分自身の理想と現実がどの程度かけ離れているかを見つけることで、自分がどのような行動を取るべきかが見えてきます。
介護の仕事は、他人の生活を支えるという責任重大な役割を果たしつつも、時に厳しい労働環境や条件に直面します。
働き方改革の波が高まる中、自分自身の働き方を見直すことで、もっと良い職場環境や働き方を手に入れることが可能かもしれません。
では、その見直しの第一歩とは何でしょうか。
それは、自分が何を求めているのか、自分の働き方に何が足りないのかを見つめることから始まります。
具体的には、自身の職務内容や働き方に満足しているか、収入や待遇に不満がないか、職場の雰囲気や上司との関係は良好かなど、自分の現状を客観的に分析することが大切です。
その上で、自分がどのような働き方をしたいのか、どんな環境で働きたいのかを明確にすることが重要です。
このセクションでは、その具体的な方法を探っていきましょう。
自己分析を行う
まず最初に、自分の現状を見つめ直すことが大切です。
自分が現在どのような環境で働いているのか、その職場で何が得られ、何が失われているのかを客観的に分析しましょう。
職務内容、待遇、職場の雰囲気、上司との関係…どれも自分の働き方に影響を与える大切な要素です。
例えば、自身の職務内容について。
あなたが行っている業務は、本当にあなたのスキルを活かすものでしょうか。
また、その業務を通じて、新しい学びや成長の機会はありますか。
これらを確認することで、現状の仕事が自分自身にとって有益なものなのか見極めることができます。
望む働き方を明確にする
次に、自分がどのような働き方を望んでいるのかを明確にします。
働き方と一言で言っても、その中には「収入」や「働く時間」、「職場環境」など、さまざまな要素が含まれます。
それぞれについて、理想と現状を比較してみましょう。
ここで大切なのは、自分の価値観に基づいて考えること。
あなたが望む働き方は、必ずしも他人と一致する必要はありません。
行動を起こす
自分がどのような働き方を望んでいるかを明確にしたら、次は行動です。
もし現状の職場があなたの望む働き方に近づけるような取り組みをしていない場合、新しい環境を探すことを考えてみてはいかがでしょうか。
一方、自身の働き方について課題感を持つなら、それを改善するための行動を起こすことが重要です。
それは自身のスキルを磨くための学習であったり、働く時間を見直すための相談であったりと、形はさまざまです。
たとえば、「介護のお仕事」などの求人サイトを利用すると、自分の求める環境に近い職場を見つけることができるかもしれません。
働き方改革に取り組む施設や、スタッフの労働環境を重視する施設など、自分に合った働き方を実現できる場所があるかもしれません。
自分の望む働き方を実現するために、一歩を踏み出してみませんか?
5. 成功する転職のために
統計によると、転職後の満足度は約53%と言われています。
この数字を見て、転職を成功させるためにはただ行動を起こすだけではなく、自分自身の内面的な成長も必要だと感じるでしょう。
まずは、自分の価値観や目指す方向性を明確にします。
これは、あなた自身の「ブランディング」につながります。
自己ブランディングが成功すれば、あなたは企業にとって価値ある存在となるでしょう。
さらに、転職活動を通じて、自分のスキルや強みを再認識し、それを伝える力を鍛えることも大切です。
自分が何を得意とし、何を好きだと感じているのかをはっきりと自覚し、それを活かせる職場を探すこと。
これが転職を成功させるカギとなります。
現状の働き方に満足していないあなた。
いつも同じ働き方を続ける必要はありません。
自分の働き方を見直し、自分らしい働き方を模索することで、より良い仕事に出会うチャンスが広がります。
そんな新たな一歩を、今、踏み出してみませんか?
まとめ:自分らしい働き方を見つけよう
働き方改革は、私たちが働く環境や働き方に大きな影響を与えています。
一方で、それぞれの人が働き方を自分で選択し、自分らしく働くことの重要性も強く認識されるようになりました。
改革に伴い、職場環境が改善されることは大切ですが、それと同時に自分自身の働き方を見直すことで、自分らしい働き方を見つけることも可能です。
転職は、新たな働き方を選択する一つの手段です。
しかし、その選択をする前に、自分自身の働き方を再評価し、何が自分にとっての最良の働き方なのかを明確にすることが重要です。
それが、転職を成功させるための大切な第一歩となるでしょう。
自分らしい働き方を見つけ、充実した職業生活を送りましょう。
【参考】
医労連「介護施設夜勤実態調査」
全国労働組合総連合「介護労働実態調査」
厚生労働省「過労死等防止対策白書」
介護労働安定センター「令和3年度 介護労働実態調査」
厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」
厚生労働省「転職者実態調査」